カヒルとの再会を多少なりとも期待していたのですが、これはまだダメですね。
4年前、エニシャに何も告げずに姿を消したカヒル。
その前にロドゴに呼び出されていたからアカデミー行きはそこからの勧めかと思うけど、あまりに急で悲しい別れでしたよね。
ここからは私ひとりで勝手に考えていた仮説ですが、
ロドゴは父としてエニシャの将来の事も真面目に考え、ヒペリオンの皇太子はヘラードに決まったのでエニシャには身分のそこそこ釣り合う王家の皇太子妃か王妃として嫁に出す覚悟を決めたのではないかと。
が、あの求婚されたハクマンのところへはやりたくないし本人も嫌がっているしで、エニシャ自身の幸せのためにどうしたら良いか考えたのだろう。
ロドゴの目にはカヒルが誰よりもエニシャのために動き、考え、忠実で信頼出来る青年に見えた。
ただ、幼年期から人質としてヒペリオンに送られた彼では身分が釣り合わない。そこで、彼をザドカル公国の王に立てる算段を考える。
ザドカル公国には実質覇権を握る夫人とその息子と娘が居る。いくらロドゴでも他所の国の太子の事まで口出しする訳にはいかず、それには何よりカヒル自身の強い気持ちと実力が圧倒的に備わらないと実現しない。
だからあの日、ロドゴはカヒルを呼び出して聞いたのだろう。何のためにお前を王にしたいのか、そのためにしなければならない事は何なのか、生半可な気持ちでは到底成し得ない事、それをする気構えがお前にあるのか。
そしてカヒルは覚悟を決めて「はい。」と答えた。
目的を達成するまでエニシャに会わないと決め、自分を追い込み、がむしゃらに頑張って来たのではないか‥‥‥。
私はそう、勝手に解釈するのです。
幸せを掴むための試練の時。
そう思って頑張って、耐えて欲しいです。
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末っ子皇女殿下
137話
第137話