5.0
汝の敵も愛すよ
隠された金塊を求めて、さまざまな思惑が入り乱れる冒険譚。
アイヌ文化や家族、戦争、軍部、新撰組、革命戦士、囚人たち……とモチーフは盛りだくさんで考えさせられることも多い。エログロも結構ヘビー。でも、とにかく魅力だったのは登場人物たちそれぞれの人間の悲哀や業の深さかなと思います。
主人公の杉元、アシㇼパ、白石の最高の3人組にまず心を寄せてしまうのだけど、この3人が同じく金塊を狙う鶴見中尉の第七師団など敵対するグループと行動を共にすることで、気付けば敵味方関係なくほぼ全員を「なんとなく嫌いになれない」状態に。
どんなに嫌な奴でも、どんなに変態的な奴でも、彼らの愛に、夢に、哀しみに、渇望に、うっかり涙してしまったりする不思議。
読了した今、登場人物全員集めて「あの人があんなことをしたのはこういう過去があったからなの!」とか「違うの、それは信じちゃだめなの!」とか、それぞれの真実を伝えてあげたい気持ちになってる。
みんな仲良くしてほしいとつい思ってしまうくらい、みんな私の中で生きている。
たぶん折に触れて彼らの過去を、今を、未来を考えてしまうんじゃないかなと思います。
オススメ!
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ゴールデンカムイ