4.0
ゆっくりゆっくり父になる
愛梨と清一郎、パパと親父の性格が正反対だからこその面白さはもちろん、父親二人の環境やそれぞれの家族との関わり方の対比が、柔らかい絵柄に物語の強さをしっかり持った作品になっています。
よく聞く「腹が減っては戦はできぬ」という先人の言葉の重みを感じることもできました。
子どもが子どもらしく「◯◯ができた」「△△が食べられた」と毎日戦っているのを見守りながら、親のあり方に不安になる親心ばかりでなく、いい年の大人になった子どもを案じる親の想いや、親だからこそ子どもの感情になってしまって見えなかった親心に気づいた心情には、こみあげる想いがありました。
作中のメニューは家庭で作るには気合いの入ったものもありましたが、料理の基本がわかる子どもの好きなメニュー多数なので、読む時間帯によっては夕飯のメニューに影響がありました。
全力独身女の私は、お惣菜や外食で手を打つこともありましたが(笑)
現実に起こるトラブルはこんなにサクサク良い方向に向かわないし、やってあげたくても子どもの話を聞いてから夕飯のメニューは決められないし、平日に子どもと一緒に夕飯作るのはハードルが高い。
けれど、嬉しい想いもほろ苦い想いも頑張りも悔しさも全て、どこか不器用な手作りの温もりのある食卓につながって終わる、素敵な作品でした。
ただ、父親同士完璧に背中を預けられる環境は、母親がいなくても美しく成立してしまうのが悔しいので星マイナスひとつで。
母親は子どもと一緒に一喜一憂できるけど、父親は感情に表すのは3割減のやせ我慢が微笑ましくて。
あの空間に混ぜてほしいと本気で思えるんだもん(笑)
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パパと親父のウチご飯