トリオマンテトリオスターさんの投稿一覧

投稿
11
いいね獲得
6
評価5 18% 2
評価4 55% 6
評価3 9% 1
評価2 0% 0
評価1 18% 2
1 - 2件目/全2件
  1. 評価:5.000 5.0

    ロマンと史実とフィクション、漫画の醍醐味

    少年/青年漫画で、これだけ明治の戦争帰りの人達と北海道アイヌを活き活きと人間らしく描いた作品はないのではと思う傑作だと思う。

    自分が好むのはリアリティとロマン(フィクション)の融合。残酷なシーンも多く、シンデレラストーリーやファンタジーがお好みの方にはお勧めしない。

    あらすじ。
    日露戦争後、親友の頼みのために一攫千金を狙って北海道で砂金を探していた杉元の前に現れたアイヌの少女アシリパ。砂金どころではない金塊の秘密を持つことが共通にあることがわかったことかは事態が動く。
    アシリパが云う北海道アイヌの生活はとても興味深いし、文化的にも面白いし、グルメも豊富。(食べられるものなら食べてみたい←ただの興味)

    道中に出会う人物像も一筋縄ではいかないが、ときにファンシーな描き方に笑いとほっこり感をもらう。腹が捩れるくらい笑う癒しが最高。

    ただ時代が時代のため、ときどき恐ろしいまでの激動を見せつけられて戦慄する。裏切り者は誰か、疑心暗鬼にさせる。

    戊辰戦争や蝦夷共和国の残り香にロマンを感じる一方で、「たられば」に大きく心を動かされるし期待に心が踊るし、そこをうまく着地させるのも素晴らしい。日本史は苦手だったので、何度も検索して歴史を辿った。それだけでも多くの学びと気づきがあり、史実の人間が描かれていることに興味がつきない。

    かと言って、好き嫌いはあれど、敵ですら彼らにも不穏な日本の空気の中で生き抜いてきた、執着してきた背景があり、おそらく感情移入するのは読者それぞれだろうと思う。

    途中で息をするのが難しいくらい圧倒されて苦しかった。

    ついでに全く関係ない、個人的な話。
    亡くなった祖父は、第二次世界大戦でシベリア抑留で捕虜になった。ついぞ話してくれなかったが。
    話してくれなかった分、この作品の中に垣間見るものがあったのか定かではではないが、想いを馳せることができたことにも感謝。

    リアタイで読みたかったな。

    • 0
  2. 評価:5.000 5.0

    おぞましいリアリティ

    とある山奥の村に派遣されたのは、前任の駐在警察官が噂とともに行方不明になった地区で、都会での独断的・暴力的な捜査により左遷された阿川警察官。

    噂とは「村人が人を喰っている」という信じがたいもので、前任の警察官は村八分になり話に囚われて狂ったと謂れていた。

    阿川が起こした事件は背景的に2024年時点でありえるだろうし、スマホもGPSもあるし、小さなコミュニティで村中に家の様子がある程度知れ渡るのも(地方にある自分の実家や親類からの伝聞や、過疎地の旅先で自分の行動を近辺の方に知られていたりするので実感として)不思議ではない。だからこそ、一見平和な村に横たわる不穏な空気にリアリティと不気味さを感じる。

    個人的に自分が海外のクライム小説が好みということ、作画き人体構造と動きの違和感がないこともスムーズに作品を読み進めることができた。
    画風や残酷なシーンの描写は万人受けする作品ではないと思うが、サスペンスとミステリーと、なにより迫る激情が描かれて引き込まれる。

    主人公の阿川はもちろんのこと、敵対する後藤家にも内情と個々の考えがあり、ストーリーは何度も押し寄せる期待感と絶望感との繰り返しに正直なところ読み進めるのが気疲れする。

    でも気になった方はぜひ最後まで読んで欲しい。救いがあり、少し安らかな気持ちになれる。

    • 0

設定により、一部のジャンルや作品が非表示になっています