5.0
「かなし」を読む
哀しみ、悲しみ、愛しみ、、そういう心のキュッとなる感情を描かせたら右に出る者はいないのでは?と思う川原作品の小品名作ばかりです。
なかでも「森には真理が落ちている」は、私の人生を変えてしまった作品です。これですっかり亀好きになってしまい、うっかり飼育して死なせるわけにもいかない!と、飼いもしないのに亀好きを自称し、亀を愛で、不幸な亀がいれば泣いて憤っています。
中国滞在時の接待でスッポンスープが出たときは、(亀とスッポンは別種ですが)ぶったぎられたスッポンの手足が浮かぶスープを振る舞われないよう四苦八苦して場を凌ぎました。
世間の人達1人1人に大小の人生ドラマがあり、それは語られることもないことばかりかもしれないけれど、拾い上げてみるとこの小品に描かれたような「かなし」に溢れた物語かもしれない。そう思うと、人間って愛おしいなと思います。
-
2
美貌の果実