5.0
気高い令嬢
人間の精神の強靭さを描いた文学のような作品です。
両親に愛情深く大切に育てられた伯爵令嬢オパールはまだ10代で突然汚名を着せられた。
晒し者になった貴族令嬢は外国で生きるか修道院、実家、親戚などで隠遁生活を強いられる。
そんな中、父親の尽力で公爵家に嫁ぐ、、いや、もらっていただくことになった。
公爵家の借金肩代わりが条件だったが、それがプライドの高い公爵ヒューバートには屈辱で
妻になったオパールを屋根裏部屋に住まわせ徹底的に見下し無視することで溜飲を下げている。
お金持ちでも伯爵家はあくまで格下だから怖くはないらしい、、すごいね。
使用人も公爵様が絶対でそれに倣い酷い態度を取り続けていく。
味方のいない嫁ぎ先に行くって怖すぎ。まして実家も容易に口を出せない婚姻システム。
今の結婚とは違う。
貴族に生まれても嫁いだら今持っている彼女の財産は夫のものになるので
祖母や母親たちは与えたい財産を信託にして守ったとか聞いたことがあります。
オパールは実家の父親の協力の下、公爵家建て直しに奮闘し、当然事業は成功するのですが
オパール名義にしていた領地を返すと何にもできない夫は「すまない」とか言って
それなりのお金も一緒に平然と受け取るんだよね。
10年間妻の汚名をそそぐことも事実を調べることもせず公爵の肩書きだけで生きてきた男が
オパールの価値を知り恥知らずにも改めてプロポーズしてくる、、冗談ですよね。
がんじがらめの状況でも媚も売らず自分を尊重できるオパールは高貴な魂の持ち主だと思います。
公爵家を去って、初恋の人クロードとの再会は爽やかな風が吹き渡るようで1番好きな場面です。
この後の56話(単行本25話)からガラッと変わり宮廷だの社交界だので彼女の過去の汚名が蒸し返される
らしくここまでにしました。オパールはどんな時でも乗り越える人だと信じているので。
ここまで駆け上がってきたオパールにとても感動しました。令嬢ものでも特に大好きな人です。
絵も素敵です。
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屋根裏部屋の公爵夫人