5.0
日本の精神医療の課題を問う意欲作
レビュータイトルには硬派な表現を使いましたが、主人公の弱井先生からして有脳な精神科医なんだけど発達障害系で整理整頓が出来ない。等、構えずに読めます。
しかも将来を嘱望されながら、仕事に邁進する中で最愛の女性を失う経験をして、何か思うとこ有りて民間診療に転じ「街道」を降りて「王道」を行っている。
こと日本という国にあっては、物事の本質に迫った善い行いは「表街道」では成せないのだ、それこそがこの国の問題だという構図は、医療に限らずあらゆる社会派エンタメで繰り返し扱われており、実際そうなんだろうと納得してしまう所です。
内容は重い内容を含むのですが、それぞれの症例とそれに付随する代表的な環境要因や、治療と寛解に向かう過程で、阻害要因になる物の存在を丁寧に描いています。
とはいえ、漫画はコミカルタッチで肩肘はらずに読めますし、魅力的な登場人物にいつの間にか惹き込まれてしまいます。
また、精神疾患の後ろに全てとは言わないがかなりの高確率で発達障害が潜んでいることも示唆しており、考えさせられる内容です。
医療、福祉、教育等の現場で就業している方には直接的に参考書として読めるでしょうし、これらの分野を扱う行政に身を置く方にも、自らが扱う事務の対象を知る手引きとして読んでほしい一冊です。
明日からの仕事に厚みが増すこと請け合いです。
また、先記の業種に関係しない一般の方も、家族親族の中の扱い難い構成員や、この先の人生で出会う様々な人々を理解する上で、知っていれば楽になれる要素が沢山あります。知っていれば、対処法や応用も考えられます。
先ずは読んでください。
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Shrink~精神科医ヨワイ~