5.0
美しい音楽がどんどん幸せな世界に変えてく
選んできた運命としか言いようがない出世と
森のピアノとの出会い。カイはどんな辛い状況でもクサることがない…それはまずは幼いカイを受け止め守る母レイちゃんの愛と、森のピアノが共にあったから、…でもあるけど、背負って生まれてきたものを自身でそもそも知ってたようにも感じる。
カイが出会った師は、素晴らしい演奏家だったが事故で婚約者と左手の自由な動作を失って活動断念の末、捨てられた自分のピアノがある森のそばに小学校の音楽教師としてやってきたアジノ。
アジノのカイを思う自由でイメージ広がる指導、ことばの一つ一つ、そしてカイを生まれ育った無法地帯「森の端」から救い出す熱意に打たれる。またカイの素直でまっすぐ未来を臨み今を猛スピードで熟す姿が全編を通じて宝物のようにいつも輝いている。
また友人でライバルとなるシュウヘイが本当の敵は自分だったとやっと飲み込み覚醒するまでの葛藤とカイとの友情、
コンペティションを競い合った人々や審査員、家族…の背景も読み応えがあって、音楽でひとつにつながっていく様子はどんどん大きな輪となりうねりとなり、後半に向かうにつれ更に更に心がぐーっとあったかくなり続けていく。
そして森や平原、海、空…。虫たちや動物たちとも繋がりカイのピアノの世界は旋風となって人々を導いてゆく。
そして…ほんと、私ごとだけど、クライマックスでは号泣してしまった。それは最高のあたたかさゆえ。この物語がハートを満杯にしてくれた…愛による涙だった…ストーリーの中に自分も入ってしまったかのように。
その後のカイの愛ある奮起によるアジノとの師弟ストーリーがまたたまらず、泣きっぱなし。
この作品の連載からだいぶ遅れて読んだわけだけど、こんなに音楽の全てを表現した作品を読めたことに感謝だ。
ありがとうございます。
因みにYouTubeで検索して、アニメでの実際のピアノ演奏作品集も聴いてみた。
カイだけ、実在の人物であるかの如く、演者が記載されてないけど、
彼の方が弾いたのだろうなぁ?と匂わせるのがまた良いではないか。
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ピアノの森