5.0
小さい頃から外見が怖いと言われ、お友達に否定的な事しか言われてこなかった凛太郎君。色々な事を諦め、頑張る事も自分の気持ちを伝えることも躊躇してしまうようになった彼。高校生になり仲間は出来たもののどこか一線を置いてしまっていたが、薫子ちゃんとの出会いをきっかけに少しずつ変わっていくという物語。
私立桔梗学園の名門女子校に通う薫子ちゃんは食べることが大好きなとても可愛らしい女の子。成績も学年トップを常にキープしている頑張りやさん。そして桔梗学園の隣にある底辺校の都立千鳥高等学校。この高校に通っているのが凛太郎君。
桔梗学園は学校全体で生徒も先生達も千鳥を良く思っていない為、決して関わりを持たないように指導されていた。
そんな二人の出会いは凛太郎君のお家が営んでいるケーキ屋さん。常連の薫子ちゃんは昔、 凛太郎君に傷心していた時に助けられ恋に落ちる。凛太郎君はそんな事は知らず薫子ちゃんがケーキを食べに来た時に出会いひょんな事からお友達になる。
彼女との出会いで勇気、元気、自信と色々なものをもらい初めての感情も芽生える。
凛太郎君の内面をきちんと理解してくれる人がこの作品の中では沢山出てくる。両親は1番の理解者だし、高校で出来たお友達もちゃんと分かってくれていて、とても心が温かくなる作品。
段々と友情が深まっていく様子や薫子ちゃんの親友で1番千鳥を嫌っていた昴ちゃんの心情、初めての恋心の心情、凛太郎君の両親の特にお母さんの心情。この辺りが丁寧に描かれていて、どのキャラクターに感情移入しても楽しく読める作品でした。
私は凛太郎君のお母さんの気持ちになって読んだ時は涙が止まらなくなってしまいました。金髪にピアスを開けたお母さんの行動にも沢山の愛が詰まってる。
少女漫画の様なドキドキ、キュンキュン、ハラハラみたいな波があるわけではなく、ただただゆっくりと育まれていく好きを穏やかな気持ちで見守っていたい作品。付き合ってからもキスシーンの1つもないのですが、2人の愛が感じられます。
私にとって少年漫画は初めてだったのですが、とてもいい作品に出会えました。
この作品に出てくる凛太郎君の周りのお友達も薫子ちゃんも自分の気持ちを言動で素直に伝えてくれる所も魅力ポイントです。
最新刊では、桔梗女子の歩みよりがありそうな所で終了。
そろそろ最新刊も出るみたいなので楽しみです。
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薫る花は凛と咲く