5.0
イネスの人生を見届けたい
プロローグとその先の数話は難解です。ヒロインであるイネスの言動や態度に「?」が続きます。けれどそれらは後々にちゃんと答え合わせがされていきますので、まずは意味がわからなくとも読み進めていっていいかも知れません。
イネスの視点を描く回で、物語が一気に種明かしされます。実は彼女は3度目の人生を生きていること。1度目と2度目では、苦しみの末に壮絶な死を遂げたこと。
1度目の人生で結婚した男は、2度目の人生ではイネスが愛した相手を殺してしまう。
そうして3度目の人生では、その男から確実に離れるため、イネスは幼少のうちに、公の場である少年を結婚相手として名指しします。それがカッセルです。
見目麗しいカッセルは、婚約中に他の女性と遊びまくります。そしてある日、その現場をイネスに目撃されてしまいます。
イネスが自分を好きだと思っているカッセルは、イネスの元へ弁明に向かいますが、そこでイネスから、貴方には興味ないのでお好きにどうぞ、と言われてしまい、脳内がパニックに。そこからどんどん、イネスのことばかりを考えるようになり……。
ずっと暗い色の服ばかりを着て、化粧もせず髪を引っ詰めたイネスが、結婚式で目を見張る美しさを披露する場面には見入りました。溜め息が出るほどに綺麗です。絵の美しさはこの作品の大きな魅力のひとつだと思います。
イネスの1度目と2度目の人生が絡みながらのストーリー展開ゆえ、読み進めていくうちに難しいなと感じる部分はあります。けれどそれが読みごたえにも繋がっています。
気づけばイネスを愛してやまないカッセルの夫ぶりと、その愛に少しずつ心を寄せていくイネスの様子を見守っていきたいです。
イネスの3度目の人生が、穏やかで幸せなものでありますように。
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この結婚はどうせうまくいかない