4.0
本編を読む前にまずコメントを読んでみたら、お母さんは頑張っている、お父さんが死んでしまったのは初音ちゃんが悪い、もう小学生なのだからもっと何かするべき…という意見が目につき、さてどんな子なのかと思って読みました。
なんのことはない、優しい性根の引っ込み思案な子というだけだった。
このくらいの歳の子に大変な家庭なんだからホルンの練習などせず家事をやれというのは……やったら偉いけれど、やらないから親不孝でもないのでは。
まして、自己表現が難しい子なら何かしなきゃという気持ちがあっても行動がなかなか追いつかないだろうと思ってしまう。
お母さんは日々忙殺されていて、初音ちゃんの特性や感情に気を配る余裕はなかったんだろうな……。
夫婦はお互い両親とは疎遠か、既に死別しているのか。
そもそもそういった家庭環境なら、夫婦のどちらかが欠けたときのために何かしらの用意をしておくべきで、そこで追い詰められて子どもに辛く当たるのは……。
お金を置いていったとはいえ、小学生をずっと一人で家に置いていくという行為、精神的な失語症の子供への仕打ちではなく、お母さんの幼さ(だからこそ羊の夢では幼い姿になって癒やされる必要があったが)が辛い。
お母さんが一生懸命なのは分かるが、彼女は大人で初音ちゃんは周囲の子と比べても精神が未熟な子ども。どちらが気を遣うべきかなど考えるまでもない。
そういう主題の話ではないので、これはこれで美しい話だと思います。
しかし、大人があれこれ苦労していても、それで非のない子どもが辛い目に遭うのは悲しい。
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羊の夢
003話
羊