rokaさんの投稿一覧

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51 - 60件目/全85件
  1. 評価:2.000 2.0

    宿命的なワンパターン

    不幸な人間が座敷童子に出会い、望みが叶って別の人生を得るが、代わりに誰かが不幸になる。
    要するにこの漫画の座敷童子は、他人に不幸を移してくれる「笑ゥせぇるすまん」みたいな位置づけである。

    世の中の不幸の量は一定であり、自分がそれを手放せば、誰かが背負うことになる、という世界観というか、物理学のエネルギーの保存みたいな法則の上に、この漫画は成り立っている。
    そこはまあ、面白いといえば面白かった。

    しかし、そのルールによる「縛り」があるゆえに、話としては毎回、「他人に不幸を押しつけて自分の幸福を叶えていいのか」という葛藤の問題になる。
    というか、それ以外の焦点がない。
    最初はちょっと目新しく感じたが、このワンパターンを毎回やられると、さすがに飽きる。
    もうちょっと何とかならなかったのか、と思うが、設定が設定である以上、このワンパターンは宿命だったような気もする。

    • 3
  2. 評価:2.000 2.0

    罰当たり

    大学の頃、ちょっと民俗学をやっていた。
    「犬神筋」が生まれた背景は、単純化して言うと、江戸時代、貨幣経済という新たな波に乗っかって一気に裕福になった人間を理解できない(貨幣経済そのものが理解できない)農民たちが、「あの家は何か人ならざるものの力で金を得たに違いない」と考えて、成り上がりの豪農の家を「犬神筋」と見なすようになったのだ、という説がある。
    つまり「犬神筋」とは、閉鎖的な共同体における新たな成功者に対する嫉妬や不信感から生まれた差別の言説である、というわけだ。
    これはひとつの仮説であるが、何にせよ、「犬神筋」は民俗学的にはとても面白いテーマである。

    それを、である。
    この漫画は「犬神筋」を、ガキっぽい少女漫画を盛り上げるための小道具くらいにしか扱っていない。
    私は自分の好きなものを汚されたような気がして、腹が立った。
    こういう物言いはあまり好きではないが、もう少し勉強してから描けや。
    私はデーモン小暮の口調で、「お前も犬神筋にしてやろうか!」と言いたい。

    • 3
  3. 評価:2.000 2.0

    設定でドロップアウト

    無作為に選ばれた国民を一年間無視する、無視しないと逮捕、という法律が出来たんですが、という話。

    私は設定段階で早々にドロップアウトした。

    例えば舞台が異世界で、魔女によって無視の呪いをかけられる、とかならまだ受け入れられただろう。
    あるいは舞台が閉鎖的な村社会で、何かしら宗教的な理由によって生け贄のように無視が行われる、とかでも受け入れられただろう。

    しかし、本作の舞台は、バリバリの法治国家日本であって、村の掟、ではなく、国家レベルで法律が制定されている。
    ということは、国会でその法案が可決され、政府がその法律に基づいて粛々と行政を機能させている、ということである。

    そんなタコな。

    作者がどんな人間観を持っているのか知らないが、人類の知性をここまでなめていいのか。
    設定としてあまりに穴が大きすぎるし多すぎる。
    一応、その法律の狙いみたいなものも作中で総理大臣が語っているが、馬鹿馬鹿しすぎてここに書くのも面倒臭い。

    私だったらまあ、一年間、きついけれど、何とかなると思う。
    だってメリットが大きいから。
    全国民が私を無視しなくちゃいけないなら、犯罪、やりたい放題である。
    それとも違うの?
    無視の期間が終わったら捕まるの?
    それって結局無視してないことにならない?
    とまあ、そういうことを含めて、とにかく設定がグダグダである。

    ともかく私ならば、一年かけて、一生遊んで暮らせるだけの金を盗む。
    伝説上の石川五右衛門や鼠小僧のように、悪い奴からだけ盗む。
    悪徳政治家が高級焼き肉店に行くのについていってそいつの財布から堂々と金を抜き、そいつの肉を横からつまむ。
    妻と話せないのだけはしんどいが、一緒に動物園や映画館に行って、目だけで語り合う。
    そのくらい出来る、夫婦だもの。
    そして一年が過ぎたら、汚れた金を握りしめてシンガポールに飛び、悠々自適に暮らす。
    さあ、日本政府よ、私を選ぶがよい。

    という妄想をして遊べたので、星をひとつ、足した。

    • 10
  4. 評価:2.000 2.0

    紙上の母たち

    いじめを扱った作品で、加害者の「保護者」にスポットを当てたものは初めて読んだ。
    その視点自体は、新鮮に感じた。

    ただ、その設定の「先」の広がりがあったのかとなると疑問で、イマイチ設定を活かせていないような気もした。

    また、母親たちの造形もどこか浅薄だ。
    子どもを守るためなら、どこまでも美しも醜くもなれるような、生々しい母の本能と情念のようなものを私は期待していたのだが、そういうものは表現されておらず、あくまで設定に基づいた紙の上のキャラクターが動いている、という印象が拭えなかった。

    あとは、些細な問題かもしれないが、どうにも似た顔が多く、画として人物の描き分けが中途半端なのも気になった。

    • 3
  5. 評価:2.000 2.0

    サブタイトルが…2

    個人的な話で恐縮だが、私がレビュワーランキングで1位になれたのは、かなりの部分、この作者の「RISKY」という漫画に書いたしょーもないレビューのおかげなので、この作者には足を向けて寝られない、と思っている。
    だから、作品の評価は甘くなる。
    それが人情というものである。
    しかし、いくら何でもこれは駄目だ。

    多分、多くの読者が同じことを考えたと思うが、目の前で育っている我が子より、生まれてこられなかった子どもに執着する母親なんて、いるわけねえのである。
    ここでつまずいてしまうともう、作品の頭でドロップアウトせざるを得ない。
    残念だが、作品の前提にあまりに巨大な地雷が潜んでいて、それを踏まずに没入することは、まともな神経の持ち主には困難であると思う。

    これまたどうでもいい話で恐縮だが、「RISKY」のレビューで、私は「復讐は罪の味」というサブタイトルに対して、「目玉焼きは卵の味、って言ってるようなもんだ」と苦言を呈している。
    本作のサブタイトルは「私の中の君」である。
    これはもしや、「私の中の黄身」であって、作者は私のレビューへのオマージュとしてサブタイトルをつけてくれたのではないか、という妄想に耽って、私は遊んだ。
    それくらいしか、この漫画に対してすることがなかった。

    • 22
  6. 評価:2.000 2.0

    根性は買う

    今はどうだか知らないが、この頃の「ナックルズ」にはわけのわからない取材魂みたいなものがあって、富士の樹海の宗教施設とか、ヒグマの出没する山中とかに、それこそ命がけの馬鹿げた体当たり取材をやっていた。
    その根性は買うけれども、漫画作品として評価するとなると、難しい。

    • 2
  7. 評価:2.000 2.0

    散らかりすぎ

    安普請のアパートに引っ越してきた夫婦。
    ある日、妻がごみ捨て場で生首を発見するのだが…というストーリー。

    シンプルな少女漫画風の絵柄と、唐突な生首の描写の奇異なバランスはなかなかショッキングで、いったいどういう話になるのだろうと、前半はかなり面白く読んだ。

    しかし、後半、いくら何でもとっちらかりすぎである。
    多分、この漫画、連載で、後半の展開をしっかり決めないまま、前半が描かれてしまったのではなかろうか。
    そう疑いたくなるくらい、前半と後半の整合性のなさが凄まじい。
    伏線も回収されないままだし(そもそも伏線だったのかも怪しいのだが)、入り口ではかなり引き込まれただけに、「ちゃんとしてくれよ」という思いが拭えなかった。

    • 2
  8. 評価:2.000 2.0

    愚かさの裁量

    いわゆる「ループもの」で、妻から離婚を突きつけられた夫が、離婚までの一か月を繰り返す、というストーリー。
    (そもそも一か月でどうにかなる種類の問題なのか、ということは、不問とする。)

    ラジオで人生相談をやっている方が、「女性が離婚を言い渡すとき、多くの場合、決意するまでにはたくさんの不満があって、何度もサインを送り続けて、それを無視され続けて、もう限界、と決断に至るのに、男性の側からすると『突然離婚を言い渡された』となるのが、不思議で仕方ない」という意味のことを言っていた。
    まあ、我々男性は阿呆なので、往々にして、そうなのだろう。
    そういう、男性の愚かさみたいなものは、なかなか上手く描かれていたと思う。

    ただ、私はこの漫画が嫌いである。
    男が愚かな存在として描かれているから、ではない。
    その描き方に、愛情を感じないからだ。

    私は、ダメ人間を愛情を持って描いたような作品が好きだ。
    「ただダメなだけの人間」なんて、そうはいやしないのだ。
    「ただのダメ人間」と切って捨てられるような人物を輝かせるのは、フィクションの素晴らしい魔法のひとつだと思う。
    そう感じるのは単に、私自身がダメ人間だからなのかもしれないが。

    いずれにせよ、この漫画からは、この「ダメな夫」に対する愛情を、まるで感じない。
    結果、どうなるか。
    主人公が応援するに値するキャラクターではなくなる。
    それが、全ての作品において「ナシ」だとは思わない。
    しかし、「ループもの」の主人公を応援できない、というのは、作品として致命的ではなかろうか。
    だって、何度も何度も苦しむ主人公に対して、「次こそ頑張って抜け出せ」と、思えないんだぞ。
    ただ主人公が苦しむのを眺めてカタルシスを得るような、そんなサディスティックな性癖は、私にはない。

    あと、多分、作者は女性で(違っていたら申し訳ない)、男性のことをあまりわかっていない。
    わかっていてこんな描き方をしているならば、いくら何でもサボりすぎである。
    男は、馬鹿な生き物だと私も思う。
    だが、言わせてもらえば、その愚かさというのは、この漫画で描かれているほど単純ではない。
    男性の、というか、人間の愚かさをこんなふうに薄っぺらい紋切り型で表現することが、私は嫌いなのだ。

    男の愚かさを、あまりナメてもらっては困る。
    私は愚かな男性の一人として、そう思うのだが。

    • 4
  9. 評価:2.000 2.0

    中立のようで、違う

    死_刑囚との面会を基にして描かれた漫画。

    メディアで報道される凶悪犯たちのイメージと、実際に会って話してみた彼らの実像のズレ、みたいなものが、テーマのひとつになっていると思う。
    ある部分、報道によって勝手に犯罪者のイメージを作り上げてしまうマスコミや、それを鵜呑みにする社会に対する警鐘にもなっていて(正解にはなろうとしていて)、自分の目で確かめるまでは、中立であろう、という意志は、評価されるべきかもしれない。

    しかし、実際、この漫画が中立であるかと言えば、違う。

    淡々としたタッチだが、このスタンスの作品ならば、もっと淡々とすべきだと私は思う。
    もっと冷徹に事実を見つめようとすべきだと思う。
    少なくとも、「出会った死_刑囚の中に悪人はいなかった」という作者の弁には、私は拭えない違和感を持った。
    何をもって悪とするか、という難しい話は抜きにしても、それはかなりの部分、作者の「印象」と、「本当の悪人などいないのだ」というような信条に裏打ちされたものではないか、と疑ったからだ。

    確かに、彼らは別に、人間の域を逸脱したモンスターではないのだろう。
    マスコミの報道が煽るのより、ずっと「普通の」人間なのだろう。
    しかし、その「普通の」人間が、どこでどう一線を越えるのか。
    それを、感情も印象も抜きにして、正確さと緻密さだけをもって語るのが、こういう作品の役目ではなかろうか。

    私はそう思うから、この作品も、おそらく作者が嫌悪するであろう上滑りのマスコミとそう変わらない、たちの悪いプロパガンダ程度にしか感じられなかった。

    • 5
  10. 評価:2.000 2.0

    料理漫画の位置

    私が一番好きな料理漫画は「鉄鍋のジャン」という作品で、その影響からか、料理漫画、というのは、現実ではなかなか食べられなかったり、ちょっとあり得なかったりする料理を、魅力的に、しかも現実に十分ありそうに描いて、読者を唸らせるものなんだ、と思っていた。
    古い話だと、「ミスター味っ子」だってそうだった。

    だから、蕎麦屋のカツ丼とか回転寿司とか、我々庶民が日常の中で普通に食べられる食事を、まあ、言ってみれば「普通に」野原ひろしが食べるのを眺める、という漫画の何が面白いのか、私にはイマイチわからなかった。

    • 3

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