5.0
両親が不仲だった人は読まない方が良い
全部読みました。
素朴な絵柄と良くあるストーリーの漫画でしたが、私の心は十分に震えました。
途中まで私の両親と全く同じでした。私は娘の立場です。私が中学生のときぐらいから両親が不仲になりました。
中学生〜高校生の頃は母に同調して、父を無視とはいかないまでもちゃんと目を合わせて話さなかったりしていました。高2ぐらいから母にも思うところがあって両親どちらの味方もしませんでした。離婚することになっても別にいいや、勝手にしてくれぐらいにしか考えていませんでした。
大学2年生のときに家を出て8年が経ちましたが、今も離婚はせず、そして無視は続いています。私がたまに実家に帰ったら、もうほんとにこの漫画の父親と同じように私の父も挨拶はちゃんとしています。それを母は鬱陶しそうに眉間に皺を寄せます。私はなんだか可哀想で父の方を見て挨拶を返します。久々に見る父は、髪にも髭にも白髪が混じり、歳をとったなと感じます。
これだけ書くと母が悪いように見えますが、父も大概です。ナチュラルに母(や私たち子)を見下しており、それは今でも変わりません。この漫画の父親とはタイプの違う人間です。
しかし、父が1つの企業で二十数年も毎日真面目に勤めているのはとてもすごいことだと思います。そんな風に真面目にそして本人にとっては正しく生きているはずなのに、家庭で、本来ならば共に生きていくパートナーである妻に無視をされ続けるのは辛いし、可哀想です。
母は母で、家事育児のほぼ全てをやりながら(育児はもう終わりましたが)、本人の希望ですがパートタイムで働いてもいます。私たちが子どもの時は、この漫画の母親のように余裕がなかったのだと思います。
大学生のとき、当時高校生の妹から「パパとママには離婚してほしくない」と聞いて驚いたのを思い出しました。私も本当はそう思いたかったのではないか?と。
両親の不仲を諦めて傍観せず、せめて私だけでも家族の雰囲気を明るくしようとすれば良かった。母の言うことをよく聞いて部屋を散らかさず、もっと手伝えば良かった。目立った反抗期はなく父を鬱陶しいとは思っていなかったのに、母に同調して父を邪険にして、そんなことせずそれまで通りに接すれば良かった。
今さらすぎてもう手遅れなのに、このような思いが溢れてきて涙が止まらなくなりました。
人の心を震わせて強い感情をもたらす、良い作品だと思います。
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妻が口をきいてくれません