5.0
中身が濃い
ルッキズムってほんとなんなんすかね?
私は若い頃肌荒れが酷く、高校時代は汚い顔と言われて過ごしました。ニキビが落ち着いた20代前半になると、今度は男性から声をかけられるようになりました。
ミソジニーの男尊女卑家庭で育てられたせいで男性嫌悪だったのも段々薄まり、ようやく普通に話せるようになると、今度は性の対象として見られていると気づき、またしても自分の女性性が心底嫌になり、今40になってようやくしがらみから解放されたような気分です。
ルッキズムの厄介なところは相対評価であること。この作品の中では何度もその葛藤が描かれます。
渦中に居る人間にはありのままの自分を認める余裕も考えもありません。常に無意識に周りを評価し、また評価される側に居るからです。
ただ一方でブスを自称、自虐すること、容姿イジリのタブーの世間的流れもそれはそれでつまんなくない?とも思います。
高度なブス同士のやりとりがただの容姿イジリに落とされていることは、芸人へのリスペクトが足りないし、容姿イジリが笑えないならそれはネタそのものがつまんないだけ。
カレー沢薫のブスの本懐読んでみなよ、と言ってあげたい。
ブスがブス同士傷口舐め合ったっていいじゃん。外野は引っ込んでろって思う。
基本的にはルッキズムには反対です。ただ、自分の容姿を受け入れてそれを表現するやり方は人それぞれなのだから、可哀想だから止めようと全て無かったことにする社会的な流れも好きじゃない。
コンプレックスもそれを武器にすることも、自己表現として周囲が認める成熟した社会になるまで、ルッキズムに立ち向かい続ける知子と梨花を見守りたいです。
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ブスなんて言わないで