5.0
進むほど、この物語の愛の深さが見えてくる
デミアンは、目的のためならまさしく手段を選ばない。慎重に、時には数年も費やしながら狡猾に情報や人を操り、結果として自分の目的を達成させて行く。
まるで、偶然、その結果になったかのように。
そんなデミアンからみれば、クロエの交渉力はお粗末なもの。しかしながら、クロエの裏表のない気高さ、目的のためではなく自信の信念に基づく言動は、デミアンが持たない魅力であり、デミアンを強く惹き寄せて離さない。
冒頭から読んでいくと、デミアンの狡猾さにがっかりするかも知れませんが、実は、その冒頭の時点でデミアンはクロエに夢中です。愛情の示し方が「独特」という件、納得です。
私、ほんのちょっとだけ、先の方の展開を目にしました。クロエが一方的にデミアンに絡め取られているのではないし、駒にされて終わる物語ではなさそうです。私はこの先もとっても楽しみです。
- 5
その品格に反抗を