5.0
高潔と執着と
契約結婚にもいろいろあるけれど、ヒーローとヒロインの心の向かう先が、これほど異なるケースは、なかなか珍しい。それも、二人が高潔であるが故に、である。
正直、ヒロインのエリザベータを突き動かしているものは、弟アンドレイとの最後の約束。それがなかったのなら、彼女自身は、案外自決を選んだのではないだろうか。彼女の生きる目的は、弟とアルガンの人々の供養を果たすこと。竜人を味方につけ、アルガン再興の足掛かりを掴もうとまでは、考えていなかったはずである。
ヒーローのレゼットは、必要以上に自らを律し、希望をもつことを自分に許さない半竜半人。そのため、3年前から強くエリーゼに惹かれながらも、心の動きを抑えて事務的に接する姿は、まさに騎士の鑑。でも、据え膳食わぬこういう人って、一度タガが外れたら、溺愛執愛一直線よね。
エリーゼの企てた偽装妊娠をきっかけに、契約結婚をすることになった二人。「あくまで契約結婚」のはずだが、この結婚、複数の国の存亡や、狂竜・大魔導士の命運などが深く関わってきていて、大スペクタクル契約結婚の予感しかしない。
二人の物語は、やっと動き出したばかり。何事にも執着していなかったレゼットが、心のままにエリーゼを求め始めたら…エリーゼが、アルガン再興の希望を抱いたら…何より、無事竜人の仔を産むことができるのか…予測不能の国盗り物語、星5でスタートです。
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これはあくまで契約結婚