5.0
漫画って、いいもんだなぁ…
何て哀しくて、切なくて、あたたかい物語なのでしょう。誰かが誰かのことを守ろうとしたがために、生まれてしまった誤解やすれ違い、それを一つ一つ拾い上げ、丁寧に紡ぎ直して、見事な「愛」の物語が生まれました。「伏線回収」って、まさにこのお話のことだと思います。
登場人物はたくさんいるのに、「モブ」がいない。一人一人が、とても大切な役割を果たしていて、物語のゴール目指して、愛のバトンを繋いでいきます。それは一見「空澤千津」のためであるように見えて、哲のためであり、空澤夫妻のためであり、千尋のためであり、春道のためであり、志信のためであり…「みんなの想いが繋がる」って、こういうことなんだなぁ。ラスト近くで「みれい」が語ります。「朝、目覚めた時 おはようと笑いかけてくれる人がいる それだけで 人って生きていけるものよ」…「おはよう、いばら姫」のタイトルに込められた意味、やっと分かりました。
ラストで哲と志津が見た同じ夢、幸せな夢、きっとそれは……そんな希望を感じさせてくれる素敵な結末でした。こんな美しい世界を追体験できる漫画の力って凄い、漫画って、本当にいいものですね。
ところで、「いばら姫」って、本当は誰のことだったのでしょう。ぜひ完読して、その答えを見つけてみませんか。
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おはよう、いばら姫