みんなのレビューと感想「[小説]お見合いから溺愛! イケメンストーカー社長の求婚」（ネタバレ非表示）

ストーカー気質

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元大企業令嬢の美嶋祐未に惹かれる男性陣がいずれもストーカー気質という点が新しい。叔父で推理小説家の涼二、元婚約者、そして結婚する深見貴哉。

興味あるものを徹底的に調査するということは、作家やビジネスマンとして間違いはなく、戦略を練る上で有効な手法。

しかし、監視するために隠しカメラを仕込む叔父、周囲に嘘の醜聞を流し牽制する元婚約者…、どれも気持ち悪い。

この作品の魅力は、登場人物のキャラクターがどれもよく確立されていること。その人物の背景が発言や行動に裏打ちされていて、違和感を感じなくさせている。

深見貴哉が女性の生理周期を口にするシーンにギョッとしたが、代々続く産婦人科医の家系ならあり得ると納得。

貴哉は「あなたは昔と変わっていない」と言うが、良質なものを選ぶ審美眼や上流家庭によって育まれた所作、そして弱気な自分を隠し強気な人物を演じる祐未の姿を瞬時に見抜いている。

祐未の勤務先「多幸」の面々が、ドレスアップした祐未に唖然とした姿は、貴哉の面目躍如と言ったところか（笑）。

結末が二人の幸せな未来を予想させるもので、安心して読み終えられた。