みんなのレビューと感想「[小説]秘密の傷痕をつけた年下のカレに今度こそ奪われました」(ネタバレ非表示)
- 完結
- 作家
- 配信話数
- 1巻読み切り
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5.0
NEWムスクのあまい香りに誘われて
心情の移り変わりを感じる描写に様々なものがある。五感、特に本能に訴えかけている描写は読み手の感情にダイレクトに伝わると思う。この作品を読んでいて主人公結花の心のさまを、ポイントポイントでどのような香りがしたか描かれている。そこを面白く感じた。
最初にでてきたのは、結花が教育実習先の生徒槇本と雨を避ける為に体育館倉庫に入り感じた、湿った独特のにおい。その時の結花は少年槇本に対し、弟のような気安さを持っており倉庫に2人で入ることに違和感も感じず日常の一コマとして行っている。
それから4年後に結花は入社した会社で槇本と知らずに、目を見張るほど美しい副社長と対面する。その副社長室に入るだけで緊張で足踏みし、男性の副社長と2人で面談しなければいけない状況に戦々恐々としている。入室後、突然見知らぬ美丈夫の男性に抱擁された時、ムスクと柑橘のまざったような香りに包まれる。ムスクは昔異性を誘う香りにも使われていた。男性が苦手な結花でさえ目を奪われる魅力的な男性像を現すのに相応しいと作者がチョイスしたのだろう。
業務を経て2人の関係は密になる。視察先で突然の雨に襲われ、槇本のマンションに2人で雪崩込む。結花は男性の部屋に入ることを恐れず、もっと一緒にいたいと思う自分を不思議に思っている。その時の槇本の部屋からは以前かいだ柑橘とムスクの香りと男性の香りが混ざった匂いがする。槇本を一人の男性と認識し、その匂いを好ましく思っている結花の心の変化だろう。
同じ2人きりの空間に関わらず気持ちの動きによって感じる香りが異なるのは人間らしい気がする。そこをあえてピックアップし、字だけではなく香りを通しても結花の心を知ってもらいたい書き手の想いだろう。by みんみん033-
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