【ネタバレあり】テンペストのレビューと感想（4ページ目）

突っ込みどころはある

後半になってようやく、もっと早く秘密を言えよと突っ込まれる姫ですが、ほんとにもっと早くからその葛藤に苛まれてて欲しかったなぁとか、看守の設定の後付け感と回収されきってなさとか、プロット上の突っ込みは色々あるんだけど、とにかくテーマとキャラが良すぎて困った。性差の葛藤ものに私自身がとても弱く、その点にこんなにダイレクトヒットする作品が初めて(ただの百合でもふたなりでもNLでももちろんBLでもない)だってことと、クイーンのラストの神々しさ、姫の色っぽさにすっかりやられてしまいました。女ならこういう女が、男ならこういう男がそれぞれ好みすぎる。男なのに姫、とかもういちいち好き。
描きたかったのは性差の破壊だろうからそのテーマのせいでSFにするしかなくてしんどい箇所もあっただろうけど、もういちどなんどでもにバカほど泣かされて読み始めましたが、後悔はないです。懲りずにSFもまた描いてみてほしい。こんなに波長が合う作家さんは初めてです

どうしてそんな行動を？と思う場面は多々あるが、それぞれのキャラをしっかり理解して読み進めるとわかってくる。
ただただ、深い愛のお話。
最期の２人のシーン。何故局長に代わってもらわなかったのか。何故教えなかったのか。
きっとコウが、ヒメのこと心も全てを独り占めしたかったのだろう。素直になれなかった。未来を守らなければいけないという責任感、プライド。それらが、溢れた瞬間だった。ヒメもそんな彼女にひどい態度をとられても、ひたむきに愛し、信じた。お互い愛してると言い合うこともなく、言い訳しながら身体をつなげる切なさ。

結婚して、子どもがいる私には切ない心震えるラスト。でも、戦争していた頃の日本でも未来の為に自分たちのこと後回しにしてきた人がどれくらいいたのだろうか。未来の私たちの為と。。。
非現実でありながら、現実であるかのような話。是非、時間をかけて読んでもらいたい。

ありそうで

男性がいない世界｡女性は女性と結婚して子供産む｡画期的だな｡でもやっぱりメスとオスは付いでないとダメなんだなぁ｡
女性同士の嫉妬とか妬みとか軽く表現されてるぐらいで、気持ちよく読めます｡