エル・アルコン -鷹- 完全版
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あらすじ
16世紀末、イギリス。世界の七つの海を征服せんと、己の野望を燃やす男・ティリアン。彼の激動の生涯が、はじめて一冊に。「七つの海 七つの空」「エル・アルコン-鷹-」「テンペスト」の全3エピソードに加え、すべてのカラー・モノクロイラスト、エッセイコミックほかを完全収録。
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みんなのレビュー
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5.0
美しすぎる悪のヒーロー
大航海時代、スペインが「沈まぬ太陽」と我が世を謳歌していた頃のイギリスに出生を受けた青年がある野望を胸に海軍に入り、志半ばで若くして散って行くストーリー。
青池保子先生の作品は「エロイカ」で大ファンになり、その後他の作品も読み始めました。
こちらはエロイカより前の昔の作品ですが、テーマもある意味文学的で人間の業を描いていて深く、宝塚で上演されたのも納得です。
現代的な言い方をすればサイコパスなティリアン。
頭脳明晰、家柄の良さ(時代的に必須だった)、容姿端麗、肉体的にも精神的にも逞しく全てを持っていたような彼だが、出生の複雑さにより父親に虐待されたからか、母方のスペインに愛着を通り越した執着心が見える。
スペインの時代が終わり、やがてイギリスに世界の覇権が移って行くのに、あれだけ優秀な彼がスペインに心酔し冷静な判断力を失いやがて破滅...。
残忍なことを平然とやってのけて行くが、確かに小心な善人より大胆不敵な悪人の方が魅力的に見えてしまい、関わった女性は本当に不幸。
ただ母方のスペインに対する愛着心を見ると、幼い純真さを失っていない、ただ親に愛されたかっただけの少年のようにも感じてしまい、悲しくなってしまう。
他の人(大人)には残忍なのにニコルには優しく兄のように接するところを見ると、人間的なところもあり、よけいに涙を誘う。
いつの時代も人間の苦悩はあまり変わらないんだな、とも思います。
最近読みましたが、この作品はギャグの要素はほぼないけれど青池先生の作品は人間の描き方が深く、歴史関係もとても詳しく調べられており、魅力的すぎる登場人物とストーリーです。by きりん館-
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