5.0
タイトル以上の内容
25才武内瑠香は高卒で中堅電気機器メーカーに勤務。名門邦明大学で都市デザイン工学を学ぶため社会人入学試験の狭き門に合格。
入学金の納期が迫る中、7年かけて貯金した400万円が、母の入院費や滞納していた家賃等で一瞬にして消えた。入学を諦めきれず、愛人バンクに登録した条件は入学金150万円の一括払いと、4年間の継続的な契約。
愛人バンク経営者の宮田から紹介されたのは、独身で35才の水島プランニング社長の水島貴也。国内有数の総合商社水島重工の会長の座を、実父と後継者指名争奪戦を繰り広げ、世間を賑わせた人物だ。
彼は後継者指名も兼ねた創立記念パーティーで、パートナーとなる女性を探していた。条件は「時間も金も手間もかからない女」。他者を圧倒させる鋭くも清涼な空気をまとい、端正な顔立ちでモデル並みの容貌に、瑠香は胸が高鳴った。
彼もまたプロフィールの瑠香の目に惹かれ、本契約前にも関わらず、瑠香の口座に400万円を振込んだほどだった。縊死した母と転落死した父を持つ2人は、突然肉親が消えてしまう恐怖を内面に共有していた。
貴也の祖父の急死により、貴也の秘書を介し婚姻届を提出したことが、互いに「金の切れ目が縁の切れ目」なのだと誤解を生んでしまう。
貴也は苛立ちを隠せず、酷い扱いを瑠香にしてしまうが、不器用な2人が教会で永遠の誓いを立て、新たな一歩を踏み出す。
ありふれた愛人契約からのシンデレラストーリーではなかった。ヒロインが常識的な金銭感覚の持ち主なのも好感が持てる。
篁ふみ先生の絵は好きだが、今回は少しイメージが違っていた。25才の女性がきちんと美容師に着付けもメイクもされたなら、挿絵のような髪型は絶対にしない。この1点だけが残念。
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