3.0
オチの一言でホラーと化した
冒頭からいきなり「脅されて泣きながら我が子を痛めつけるお母さん」なので、絵面はキツいけど、何が起きてこんな展開になったのか気になって、とりあえず最後まで読みました。
初めはよくあるママ友グループのマウント合戦。大袈裟でステレオタイプだけど、まあフィクションとして読むには充分。でも"勘違い女がカースト上位から転落することでカタルシスを得られる"タイプの作品じゃないんだよね、この作品…"何の落ち度もない主人公が酷い目に遭わされて、悪役が勝ち逃げする不条理モノ"でもない。その手の話は胸糞すぎて大嫌いだけど、そもそも「何の落ち度もない主人公」じゃなかった。ぶっちゃけ、感情移入出来るような人物が1人も出てこないから、読んでいて身につまされるような思いにはならないけど、読後感は確かに良くない。物語は一応の解決を見るけど、「3億円」に踊り踊らされた人たちの哀れで愚かな狂死曲(?)だわ。
物語の中心になった人たちが消えて、残ったママたちはいつもの日常に戻ったけど、最後の一文で一気にホラーめいた。このオチで「こわっ」って思った。
もう言い尽くされてることだけど、本当に怖いのは「自分は何も悪くないと思っている人間」なんだな、と再認識する。あと、「情報源を確かめもせず噂を鵜呑みにする人」「認知の歪みを自覚できず思い込みを暴走させる人」も怖い。そういう狂った人間しか出てこないから、この作品はある意味ホラーです。最後の一文が本当に効いてたわ。まるで落語みたい。(お後はよろしくないけど)
・物語にはカタルシスが欲しい
・登場人物に感情移入しながら読みたい
そういう人には胸糞でしかないでしょうが、
・嫉妬や狂気で日常が侵されていく怖さ
・実体のないものに踊らされて狂っていく人
とかが好きな人は、ホラーとして読めるかも。
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