4.0
ふたりでいれば怖いことなんて何もない
無邪気で微笑ましい出会いに、可愛らしい軽めの話なのかなと思っていたら、高校生の伊東晃(あきら)と西夕希(ゆうき)が出会い、大学生になって気持ちが通じ、社会人になって同棲したものの別れ、8年後に再会して復縁し、亡くなるまで添い遂げるという、まさかのロングスパンのお話。
しかも途中は重め展開で、28歳での別れに至るところはツラくて読み返せない…。
8年後の再会からはかなり時を飛ばして断片的なエピソードが描かれる程度だけど、幸せに暮らしているわかってホッ。
最後に病室を抜け出した夕希が満面の笑みで白線の上を駆けて、待っていた晃と会って抱き合うシーンは、展開がわかってても涙が止まらない。
13話の中でよくぞ70年近くにわたるふたりのストーリーを描いたなと思います。
ただ、いろいろなエピソードや設定がそぎ落とされていると思われ、特に晃の良さがわかりづらいのが惜しい。
夕希と別れる理由が身勝手だし、8年経っても忘れられないほどの魅力って何?となって、夕希が不憫でしょうがない。
たとえば再会後に、別れた本当の理由を明かしてもう絶対に傷つけないと宣言するとか、家族にカミングアウトして一生大切にすると言ってみせたりとか、夕希を甘やかしたおすシーンとかがあれば見直せたんだけどなぁ。
はじめは夢見がちな夕希を現実的な晃が支える話なのかなと思っていたけど全然逆だった。夕希の方が精神的にすごく大人で強い。
ふたりでいれば怖いことなんて何もない、ということを先にわかってた。
脚本家としても大成したっぽいし、才能もあって努力もしたんだよな。
パートナーを見送り12年もひとりで過ごすのも晃だったらムリだったんじゃないか。
8年と12年って相当長いので、そこはもっと短くして、幸せな時間を長くしてあげて欲しかった(涙)
で、ここからは蛇足ですが。
第3話、19歳でスマホで終電時間を見るシーンがある。スマホが日本で流行りだしたのは調べると2008年ぐらいからなので、大学生でスマホを使えた人が70歳、80歳になるのって、かなり先のはずなんですよ。
ということは、これはあるかもしれないひとつの未来。
だから、医療が進んで、晃の病気は治ってもう少しふたりは一緒に過ごせたかなとか、日本で同性婚も全然普通になって、気楽に過ごせたかなとか、そんな幸せな未来もあるかもなと勝手に妄想して、涙をこらえてます。
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