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3.0
中世の貴族の限嗣相続と結婚制度のお話
没落田舎貴族のヒロインは,父の死後,当時の法律により,邸宅,敷地,所領を追われ,一文無しで出て行く羽目になります。本来,女性に相続権は無く,養子を迎えて,家督を継ぐ事も禁じられていた上に,一族の遠縁の有能な男系が限嗣相続する事になっていたからでした。勿論,他家へ嫁ぐという選択肢もありましたが,女性側が,幾莫かの持参金を用立てして,相手方へ嫁ぐ事が前提となっていた為,没落貴族のヒロインには,結婚という選択肢もありませんでした。身寄りも無く,後見人も現れない場合は,修道院という監獄のなかで,オールドミスのまま生きて行かねばなりません。また,死ぬまで居られるという保証はありません。そんな折,亡き父の友人だったという子爵が,後見人を申し入れてきます。千載一遇の大チャンス⁉この漫画のストーリーは,まさに,其処から物語が始まります。幼年時代から,政略結婚で不仲だった両親の骨肉の争いを見て育ってきた為,誰からも愛されない必要とされない日々を過ごして来た子爵。その為か,結婚願望も無く,独身主義を通して来た子爵。離婚寸前で家庭崩壊した屋敷を抜け出し,恩師だったヒロインの亡き父と,まだ幼かった妹の様なヒロインとの3人で,思春期を暫くの間,田舎で過ごした記憶が,ヒロインと子爵の互いの追憶の中で,過去と現在を交錯しながら,それぞれの想いを馳せながら,断片的だったひとつひとつのパズルを完成させていきます。序盤から,TLお約束要素のフォアプレイが連続しますが余りインパクトはありません。お話の展開の方が難しい描写なので…。途中,フォアプレイからオーラル●ックスへ転じていくチャプターを経て,ついには馬車の中で本番行為を迎え入れてしまうのですが,子爵自身の憂いと迷いがあって,自身を解き放つ事が出来ません。色々あって,全てのパズルが揃った時に,思春期の頃,3人で過ごした田舎の光景を思い出し,“私は先生の子供になりたかった。君たちと家族になりたかったんだ。”…二人とも物理学的な精神学的な要因があって,結婚までの道程が恐ろしく遠い。ストーリーの時代背景と制度が,難し過ぎて漫画で表現するには限界がある。ある意味,漫画作家泣かせ,期待外れの作品。寧ろ,邸宅の外観のカットの絵が簡単過ぎてショックです。商工会議所か庁舎の様です。もっとお城の様なロマンチックな絵にして頂きたかったです。絵は綺麗だと思います。
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