4.0
「いとしい」は、家族にも恋人にもあり。
先日、作者さん(佐久みのり先生)の『そんなお前は嫌いじゃない』を読み返し、こちらも流れで読了しました。
『そんなお前は…』が、高校生のガチムチで男前なケンカップルのおバカな恋物語だったのに対し、本作は真面目な大人たち(と娘)の、ほのぼの、しんみりストーリーです。
子ども向けのセレクトショップのバイヤーをしている、イケメン美形の拗らせゲイ・誉(受け。表紙下)は、仕事でゲイ差別を受け苛ついていた時、初めて訪れたバルで好みの男・純平(攻め。表紙上)と出会い、手を出そうとするが…。
※以下、ネタバレ含みます。ご注意ください。
純平は真面目な男で、恋愛不信で恋人を作らない誉に「愛して愛される幸せを、まだ君は知らないんだね。自分を大切にして」と言う。キュン!ときた誉だったが、ゲイの筈の純平には小学生の娘(ましろ)がいた。
しかも、自分が性的指向に悩んでいた十代の頃に、読んで救われた絵本の作者が純平だったと判明!
(この「きみのことおしえて」という絵本は、兎と狐の表紙で十人十色を子ども向けに分かりやすくした内容だそう。読んでみたいなぁー、どんな本だったんだろう? )
ましろが誉に懐き、純平とましろと過ごす時間が長くなるにつれ、誉は2人に惹かれていくが、ましろが語る亡くなった母親と純平・ましろの絆に、これ以上嵌まるのはマズいと思う誉。
…と、エロは少なく(最後に集中パターン)、拗らせ遊び人と、家庭第一の不器用男(+無邪気で優しい娘)が、出会い~結ばれ家族になるまでの過程を描いた作品だと思います。
読み進めると、何重にも誉と純平の間に縁(えにし)があったことが分かり、出来すぎかーっ!というご都合主義にも感じますが。
しかし、ほのぼのと温かく、これもありかも…と、自分は思いました。
絵はキレイで見やすいと思います。
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