独占漫画家インタビュー:小岩井ゆば「“可哀想だけど可愛い男性”好きは二次元限定?漫画キャラを掘り下げるのが得意な小岩井先生のルーツに迫る!」
イケメン夫・冬樹の異常すぎる愛情表現が怖い!と評判の「うちの夫は、私を異常に愛している」。“可哀想だけど可愛い男性”を描くのが好きだという作者・小岩井先生が、キャラを掘り下げるにあたって影響を受けた漫画とは?「うちの夫は、私を異常に愛している」のお気に入りのシーンや、今後挑戦してみたいジャンルについても聞いてみました!
「冬樹、怖っ…」自分で読んでも、ふと身震いするほどの異常愛!
――めちゃコミックで先行配信中の「うちの夫は、私を異常に愛している」 (小岩井ゆば) ですが、同月間ランキングや上半期ランキングでも上位を獲得しています。ご自身にとって初の紙単行本化も決まっておりますが、実感としてはいかがでしょうか?
「うちの夫は、私を異常に愛している」 (小岩井ゆば) が配信されてから、ありがたいことにTwitterのフォロワーさんも増えたり、レビューも目が飛び出そうなほど色々と書いてくださったりして、本当にたくさんの方に読んでもらえているんだな~!と純粋に驚きと嬉しさがあります。いつも応援いただき、ありがとうございます!
――本作で、特にお気に入りのエピソードはありますか?
冬樹(立花冬樹(たちばな ふゆき))と由利子(立花由利子(たちばな ゆりこ))がデートをしたあとの、車内での二人のエピソードです。
ネームを描き終えて読み直したとき、自分でも思わず「え、冬樹怖…」と声に出てしまったほどなので、結構お気に入りです(笑)
デート帰りの車内
うちの夫は、私を異常に愛している
(c)
小岩井ゆば
デート帰りの車内
うちの夫は、私を異常に愛している
(c)
小岩井ゆば
“可哀想だけど可愛い男性”好きは二次元に限る!?
――「うちの夫は、私を異常に愛している」 や、小岩井先生のデビュー作「僕は今夜、妹と」 などでは、ともに影のある男性が魅力的です。小岩井先生ご自身、そうした男性がタイプだったりするのでしょうか?
妹を溺愛する兄・朝日春一(あさひ はるいち)
僕は今夜、妹と
(c)
小岩井ゆば
愛に飢えた可哀想だけど可愛い男性が好きですね…が、二次元限定です!(笑)
今後も色んなパターンの“可哀想だけど可愛い男性”を描いていきたいです。あとは、しっとりとした雰囲気の男性も描いてみたいですね。
――本作の今後の見どころについて教えてください。
この作品は、弱いがゆえに間違いを犯してしまったキャラばかりが登場します。彼らが何と向き合って、どんな決断をしていくのか、それぞれの成長を見ていただけたらと思います。
離婚届をビリビリに破く冬樹
うちの夫は、私を異常に愛している
(c)
小岩井ゆば
サスペンス映画・ホラー映画の演出を参考に
――ご自身や身近な人、周囲の人を投影していたり、共感したりするキャラクターはいますか?
特定の誰かを想定して描いてはいないのですが、自分が過去に思ったことやされたこと、言われたこと、人から聞いたことやテレビを見て思ったことを、それぞれのキャラが代弁しているんだと思います。
「うちの夫は、私を異常に愛している」 (小岩井ゆば) で、一番共感するキャラクターは優月(ゆづき)ですね。とても感情に素直なキャラなので、キャラ作りの際も入り込みやすいです。
冬樹の弟・秋良(あきら)の幼馴染・優月(ゆづき)
うちの夫は、私を異常に愛している
(c)
小岩井ゆば
――ストーリーはどんな時に思いつきますか?
ストーリーは本当に何気ないときに思いつくことが多いです。テレビで面白いニュースを見たり、変わった出来事を体験したり聞いたりしたときに、妄想が膨らんでストーリーになったりします。
参考にしているものは、漫画の他には映画などもあります。「うちの夫は、私を異常に愛している」 (小岩井ゆば) に関して言うなら、「エスター」(2009年)と「マーサ、あるいはマーシー・メイ」(2011年)という映画を参考にしています。サスペンスやホラーの演出は最高だと思っているので、とても勉強になります。
コーヒーを淹れる冬樹
うちの夫は、私を異常に愛している
(c)
小岩井ゆば
――もしストーリーづくりなどに詰まってしまった場合、どんなことをして気分転換をすることが多いですか?
寝るか、もしくはお仕事ではなく趣味の漫画や絵を描いたりすることが多いです。あとは友達とおしゃべりをするのが一番気分転換になるかもしれないです。
半年間、同じネームを何度直してもボツに…
――小岩井先生が漫画家になろうと思ったキッカケ、漫画家になった経緯を教えてください。
元々小さい頃から漫画が好きで、小学4年生くらいのときに仲の良かった友達同士で“交換漫画”というものをやっていたんです。その頃に初めて漫画家という職業があるということを知って「漫画家って、大好きな漫画をずっと描けるし読めるし最高じゃん!私も漫画家になる!」と思ったのがきっかけでした。中学生になってから何回か雑誌の賞に応募していたものの、自然と投稿するのは止めてしまって、高校では服飾デザイン科に入ってしまったので、漫画からはしばらく離れていたんです。
その後、「やっぱり漫画が描きたい!」ということで漫画の専門学校に入り、また投稿を再開しました。専門学校を卒業してすぐくらいの頃に、某雑誌で担当さんがついてくれたのですが、ネームを何度直してもボツになってしまったりと、まったく上手くいかず、そこから半年くらい漫画家として自信をなくしていた期間がありました。ようやく立ち直り、改めてストーリーの勉強をし直した後に、また持ち込みを始めました。その中で、今お世話になっている出版社さんに声を掛けていただいたおかげで今の自分がいます。
――小さい頃から漫画が好きだったという小岩井先生ですが、特に好きな作品はありますか?
好きという以上に尊敬してやまないのは、いくえみ綾先生と浅野いにお先生の作品です。特に「私がいてもいなくても」 (いくえみ綾/集英社) と「おやすみプンプン」 (浅野いにお/小学館) は、初めて読んだときからずっと胸に刺さりまくっています。
表紙
私がいてもいなくても
(c)
いくえみ綾/集英社
表紙
おやすみプンプン
(c)
浅野いにお/小学館
――ご自身の作品に影響を与えた漫画はありますか?
キャラを掘り下げるのが好きなので、その点では「彼氏彼女の事情」 (津田雅美/白泉社) や「フルーツバスケット」 (高屋奈月/白泉社) からも影響を受けていると思います。
表紙
彼氏彼女の事情
(c)
津田雅美/白泉社
表紙
フルーツバスケット
(c)
高屋奈月/白泉社
――現在、何かハマっている漫画はありますか?
めちゃくちゃ今さらなんですが「ベルセルク」(三浦建太郎/白泉社)にハマっています! 忘れたくても忘れられないような個性的なキャラたちと、その強烈な過去やエピソードによって産み出される重厚なストーリーは、読み終わった後に「このキャラはあのとき、どう思っていたのだろう…」といつまでも考えさせられます。なぜ自分は今までこんな面白い漫画を読んでいなかったんだ!? と後悔するほど面白い漫画です。
――今後、挑戦してみたいジャンルやストーリーがあれば教えてください。
映画ではサスペンスとホラーが好きなので、そうしたジャンルのお話も一度挑戦してみたいです。あとはもっと“可哀想だけど可愛い男性”が、魅力的に映るようなお話を描いていきたいです!
背筋がぞくっとするような冬樹の異常愛の描写は、小岩井先生のお好きな映画を参考にしているようです。小岩井先生の描かれた、サスペンスやホラーなどのジャンルの漫画もぜひ読んでみたいですね!
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