3.0
天才が凡才を名乗るほどの皮肉はない。
48巻まで読了。序盤〜中盤は文句なしの☆5。
最後まで読んで☆3にしましたが、全巻買って後悔はしていません。
高校1年生でかるた部を作って全国大会優勝を目指すまでは本当に素晴らしいです。
千早・太一・新の幼なじみ組のうち、新だけが離れた故郷で頑張っているのが素敵です。
かるた部5人のひたむきな情熱はまさに『青春』の一言に尽きます。
どの試合も誰が勝つのかわからないハラハラ感があり、読み応えたっぷりで面白いです。
2年生編もかなり面白かったです。
3年生編から失速を感じました。
とにかく千早が千早らしくない。千早に見えない。
皆の太陽のような明るくて天真爛漫で無垢な女の子が、太一との不和をきっかけに、不自然に大人びた女性に成長します。
何処までも光である千早が好きで応援していたのに、この辺りから素直に千早を応援できなくなりました。
3年生編ではかるたの練習の描写も少なかったし(練習自体はめちゃくちゃしていましたが)受験生なのに、1,2年生の時は手も足も出なかったクイーン・若宮詩暢相手に、3年生では互角の戦い。ご都合主義を感じます。
かるた部やかるた会でお世話になってきた仲間たちは名人・クイーン戦(結構長い)では完全に脇役。1年生から一緒にいた西田くん・かなちゃん・机くんまで脇役扱いなのは解せません。
『千早は天才じゃない。取った札は全て努力の賜物だ』
というようなモノローグがありましたが、
「読手が声を発する前の、音とも言えない微かな音」
を正確に聞き分ける能力は間違いなく天性のものです。本当の意味で努力の人であった太一や机くんたちの前でも同じこと言えるの?と思います。
あくまで千早を『天才』ではなく『仲間と共に努力して勝ち抜いてようやくここまで来た頑張り屋』にしたいのでしょうが、だったらかるた部やかるた会の仲間の描写を盛ってほしいですし、何より天才が凡才を名乗るほどの皮肉はありません。
名人・クイーン戦は長いわりに出来レース感が強く、名人を新が、クイーンを千早が倒して終わるのだろうな、という予感がひしひしとします。
永世名人の孫で10年以上努力し続けた新はともかく、本格的にかるたを始めてたった3年であっさりクイーンになるなんて……現クイーンの苦労も思うとなんだかなぁと思います。
千早に当初の情熱が感じられずもはや執念にしか見えないので、青春感も薄れました。
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ちはやふる