5.0
ちくちくと切なく
仕事ができてクールに見られる主人公藤田歩(あゆむ)と、誰からも好かれる同期の谷地くんの不器用な恋愛物語です。
多くの女性は、谷地くんのように素の自分を掛け値なく見て、愛してくれる男性がいたらなあと思いながら、読むんじゃないかと思います。誰にも、周囲が「この人はこういう人だ」と思う自分と、本当の自分は違うのにという思いがあるからこそ、谷地くんの想いにほだされます。
谷地くん自身も、本当の自分は皆が思うような良い人ではないというわだかまりがあるのですが、主人公藤田さんの祖父善ちゃんと仲良しで、釣りが好きな、お人好しと言えるほどに優しい男性という設定はグッと来ますね。ただ、絵柄が可愛らしいために、最初は、谷地くんに対して、イケメンというより、どうしても童顔の可愛らしい男性を思い浮かべてしまいます。でも無料分を読むうちに、この純朴で、打算のない性格イケメンの谷地くんファンになってしまうのでした。
2人の周りには、ずるかったり、弱かったりする人(でもそれが普通の人だよね)も登場しますが、根っから悪い人には描かれておらず、いつも読んだ後に後味の悪い思いは残りません。2人の不器用さによるすれ違いや、周囲との人間関係にちくちくと甘い切なさを感じることはありますが、どす黒い気持ちにはならないのがこの作品の最大の特徴です。
ついでに言うと、祖父の家である古い日本家屋での美男美女の2人の交わりはちょっとエロチックで、それもステキだと思いました。
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きっと愛してしまうんだ。