4.0
人を想うって素敵だ!
バイクの自損事故で怪我は軽かったものの記憶喪失になった主人公の詩織。
母の不倫が原因で離婚した父は三人の子供を手元に置き、長男を頼りに暮らしていたが一年前に癌で逝去。
その後、大学生の兄の明夫は妹の高校生の詩織、その下の妹真歩の二人を愛おしみ面倒をみながら三人で暮らしていた。
事故の前の詩織は高校生らしからぬ派手な生活をしていたらしいが、事故後は一転して兄や妹想いになり、それが本来の詩織のよう。
しかし、妹の真歩は詩織から虐められていたらしく詩織には一向に心を開こうとしない、
記憶のない詩織のもとにファッション誌の読者モデル応募の案内が届き、元気な頃の自分探しの為にもオーディションを受けた事から展開し始める詩織の見巡り。
詩織が兄以上の感情を抱いてしまう明夫と幼なじみから恋人になっていく瑞樹との関係、詩織を一途に想う開くんと友達、離婚した母が戻って来たりと複雑な人間関係が絡まりながら、人のややこしい嫉妬の感情をとても上手に描き分け、登場人物がそれぞれに少しずつ自分と向き合いながら成長していく姿が丁寧に描かれていて、展開にわくわくしながら読みました。
クリスマスイブの夜に居なくなった真歩を探し回る詩織と明夫に思わず涙。
何より詩織がかわいい。最後の方の真歩の目の表現がきりりと素敵になるし、明夫の顔のぐっとくるような線にも惹かれた。
途中で入った別の話は必要なかったように思いました。
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シックス ハーフ