5.0
生きる理由を得た最強戦士のラブストーリー
無料で1話ずつ読んでたけど途中から課金して一気読みです。
設定もエピソードもあざといぐらい切なさが詰め込んであって胸がキリキリしっぱなし。さらに19話ぐらいから最後までは展開が緊迫し息苦しいほど。
この世界をつくった作者に拍手喝さい!
白兵戦含め戦闘が描かれるので暴力的な描写が苦手な方はご注意を。
新型人類イキガミ(国により呼び名は違う)が生物兵器として国家防衛の最前線で戦うことで世界平和が保たれている近未来。
イキガミは空を飛び貨物船を持ち上げるほどのパワーを持ち、ナイフも銃も地対空ミサイルですらかすり傷ひとつ負わせられないのに、抗生物質や解熱剤など普通の薬がまったく効かず輸血もできない。傷ついたり病気になったりしたら、ただひとり適合するドナーである人間の唾液や血などの体液や臓器移植でしか治せない。
最強のイキガミと言われる鬼道慧(さとる)とそのドナーということが分かった吉野優希(ゆうき)が主人公。
鬼道は10歳で家族と別れセンターで戦闘訓練だけをして育った。家族とは疎遠で友達もいない。守りたいと思える人もいない。
吉野は突然のドナー認定に戸惑い、鬼道の横暴さにも驚くが、イキガミという存在、鬼道の生い立ちの過酷さを知り、ドナーの役割とともに鬼道の存在を丸ごと受け入れていく。
吉野が鬼道を愛おしく思い精神的にも寄り添う過程や、鬼道が吉野の温かさに触れかけがえのない存在として大切に思うようになる過程が、納得感のあるエピソードで描かれる。
吉野が10年後の未来の自分への手紙を読みあげ、それを受けて鬼道が書いた手紙を吉野が読むシーンには涙が止まらない。
鬼道を守りたいと言ってくれた吉野。
お帰り、ただいまと言い合うんだよと教えてくれた吉野。
怪我をするなと気遣ってくれる吉野。
好きという感情をわからせてくれた吉野。
吉野の名前「優しい希み」は正にそのとおりで、悲しい存在という自覚すらなかった鬼道のドナーが愛情深い吉野でよかった。
鬼道の胸に明かりが灯って本当によかった。
鬼道がはじめは感情のない狼、食欲だけのゴリラ(「オレ バナナ スキ」には吹いたw)だったのに、最後は待てもできる大型ワンコになるのが可愛らしい(笑)
最後、空で流星群を見るふたりにジーン。
ずっと想いあって笑いあって幸せでいられますように。
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イキガミとドナー