4.0
サラサラ感のある不思議な個性
まず、絵が動いていない。人物も相当無表情…だが、表情の乏しい人が醸し出す何かのようなものがある。これしか描けないのか、あえて狙ってそうしているのかわからないけれど、それが不思議な空気を醸し出してこの作品の個性になっている。淡々と、ばっさりと、色んなものを削ぎ落としていく。人の煩悩も、いやらしさも、何もかも、一度濾過されてサラサラになる感じ。
読んでいる人が感情移入しにくい。人物の中に踏み込んで共感することを許さない。我々はあくまで客観的に、冷静に傍観者でいるしかない。でも、妙に惹かれるものがある。ストーリー自体はよくあるのかもしれないけれど、絵に気を取られている間にその辺のことはうやむやになってしまうなかなか凄い作品である。
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お嬢さんと家政夫