5.0
現在81話まですべて購読した上で
先に結論を言いますと、個人的には大好物です。性癖に突き刺さります。
抉るような暴力性のある魅力を持った作品ですが、難点も多い。
私にとっては☆5を突き抜けますが、一般的において☆3に留まるのも容易に理解できます。
・日本人向けでない
ファンタジーものとか、中世の西洋文化とか、自分とかけ離れた舞台に慣れている方なら別かもしれませんが、日本人の感性に突き刺さるにはちょっと複雑すぎる気がします。貴族の暮らし、男女の格差、貧富による妄執。日本に生きているだけでは想像するのも難しい事だらけかもしれません。
・感情が複雑すぎる
昨今の日本は「如何にストレスを受けず、自分に都合よく生きていけるか」を突き進んでいるように思うので、そう生きてきた方々にはたぶん響かないかな。サディスティックでもあり、マゾヒストでもあり、加虐体質であり、悲劇ぶったりもする。外国は日本よりずっと感情の振り幅が大きく、それゆえの感性といえるでしょうけど、起伏の少ない日本人には理解できない類の激情で渦巻いています。これを自分なりに噛み砕いて解釈が出来る想像力をお持ちの方は、自分なりの楽しみ方を見つけられる気がします。
・背徳的、嗜好的な要素が多い
姉弟愛、異種族愛。しかも悪魔。そんなものと交わる女、なんて、聞く人が聞けば憤慨モノでは?と思いますが、単純に作品として見れば、個人的にドツボでした。ひたむきで純粋な悪魔。それでいて嵐のような激しい妄執を注ぐ弟。それを怖れ、実の弟である罪悪感に畏れ、その根底で痛ましく慕って欲しいと切望する歪んだ姉。それだけで複雑なのに、さらには前世まで関わってきて情報が渋滞状態ですね。でもその、複雑にからまりすぎて解けなくなった、捨てるしかない糸みたいな二人の愛憎が、痛ましくて見ていられないのに、どうか救われて欲しい、愛情で満たされて欲しいと願ってしまうんです。
長くなってしまいそうなのでこの辺にします。
普段から活字などで登場人物のあれこれを想像する楽しみがある方には、とてもオススメ。
苦手な方はこれを機に是非とも想像してみていただきたい。単純明快なだけではないんですよね。「愛」って。
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魔鬼