クリスタル聖闘士さんの投稿一覧

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1 - 3件目/全3件
  1. 評価:5.000 5.0

    あの作品…

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    有名な「マトリズム」の作者さんの作品、と言えば

    ある程度、漫画を読み込んでいる方なら、あの、独特の「狂った眼球」のタッチを思いうかべるのではないでしょうか。

    本作は、原則、やってはいけないクスリに手を出した人間は、ほとんど(現在50話ほどまで読んだ時点で)、出てきませんが、

    いわゆる、重度の精神疾患になった方の、家族らの苦悩に焦点を当てた作品です。

    もはや、自分の言動を理解している状態にない「患者」らを、どうしたらいいのか、困り果てた家族が行き着く、

    「トキワ精神保健事務所」。

    ここは、公的機関でなく、所長(医師の資格はないようだが、弁護士と対等に対決するなど、かなりの頭脳の持ち主)と、助手の女性の2人体制にて、さまざまなケースに対応する、民間ケースワーカー機関、とでもいえばいいでしょうか。

    無事に収まることがあれば、どうしようもない結末のものもあり、読み進めるには、マトリズム以上の精神力が必要かと思います。

    特に「あの眼球」が、毎回のように出てきますので。


    疾患の当事者である知人が読んだところ(通院中)、「〇〇でわかるナントカ」のような、どこか患者をバカにしているようなおふざけ作品を、自然に駆逐してくれるであろうほどの、深く真理に迫った傑作とのことでした。
    (こちらを読んだら、〇〇でわかる、なんて、アホらしくて、誰も読まなくなり、絶版になるという意味らしいです。)


    なお、某SNS系アプリのように、毎回、コメントができるものでは、あまりコメントを投稿しないことを、個人的には、おすすめします。

    (めちゃコミで読むのがいちばん)

    疾患の当事者、家族、知人、医療及び施設関係者、関連学校の学生、そういう方々を受け入れているアパート経営者など、じつに多種の「関係者」が読んでいるようでして

    実例として、1000件近くの「いいね」をもらっている投稿が、その反面、すさまじいまでの反論投稿をされており、私は医療関係者でもないのでわからないのですが、投稿内容にあるわずかな「ほころび」を突いて、200字の制限でよくできると思うほどに糾弾するコメントや、「ネットで拾ったであろう浅はかな知識をひけらかすなバカ」といった、カオスの状態となっており、まさに「うかつな投稿などしないほうが身のため」です。

    めちゃコミは、平和なので、こちらで読み進めたいと思います。

    • 0
  2. 評価:4.000 4.0

    猿…なの?

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    かつて薬害問題の責任を押し付けられそうになり、結果「無実」であったものの、世間的には大きなマイナスイメージを負ってしまった中堅製薬会社の社員らが、登場人物の9割以上をしめる。

    ワンマン社長により、このご時世に「親睦のための、登山に近いハイキングイベント」を行い、そこそこの苦労で終わるものの、待っているのは、その千倍以上に過酷な恐怖の世界であった。

    全体から離れたところで、ひそかに「同盟」を結ぶ者達、ひとり苦悩する者、そして、なにかを企んでいる者
    容赦なく、人が死んでいきます。


    中盤というか、序盤から「この動きは、もう、猿ではない。」と思うものの、ぐいぐい、読み進められる。


    唯一の難点?は、これだけのめちゃくちゃな環境下に数日間も置かれたら、髪の毛なんてギトギトのボサボサになるであろうに、皆、きちんとヘアセットされたままであること。特に、女子は、初日からのヘアスタイルが、多少、汚れが見えるものの、ほぼ原型をとどめていることでしょうか。

    どれだけ、すごいスタイリング剤を使っているの?と…

    休日にイッキ読みをすると、夕方に、つらくなってきます。

    娯楽要素ゼロです。


    ただ、今、ゴラクで連載されている「2」に出てくるような、危機におかれると、どうしようもなくおかしくなり、周囲に迷惑をかけまくるというキャラは出てきません。

    悪人は、悪人で、ひっそりと、です。


    髪型で、マイナス1です。

    • 4
  3. 評価:5.000 5.0

    心臓をわしづかみ

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    森下先生の作品は、昭和59年発行のヤングジャンプ短編集「荒野のペンギン」で初めて拝見しました。そのかわいらしい絵柄からは想像もできない、人間の心理を深く追求する数々の作品に、まだ未成年の自分は、心臓を掴まれるような思いでいたことを記憶しています。/ 80年代後半「少年アシベ」が大ヒットし、アニメ化もされ、世間的には「ゴマちゃんのマンガの人」とのように脚光を浴びた先生でしたが、「この作家さんは、人間の心理を探る作品を描くのがすごい人なんだよ~」と、世間にむかって叫びたい気持ちでした。/ その後、徐々に、哲学的要素を含む作品を発表され、うれしく思っておりました。そして、実に、三十年を経て、本作を拝見することとなりました。/ 最初から、ぐいぐいと、引き込まれました。どうしようもなく、自分に価値を見出せない「チコちゃん」のもとに、突如現れた、謎の女性「トモちゃん」。彼女が、まさに幼児の世話をするように、チコちゃんを「人間」にしていく… / 作中から、車谷、ジュンユ、歯科医の先生、タクシー運転手の鯛造君と、徐々に脇役陣が充実し、トモちゃんの「荷」も、少しずつ下りてきて、聖母から友人へと変わっていきます。/ けして、人に大きな声でいえるものではないけど、確実に、世の中のだれかの役に立つ仕事をこなす、車谷と、チコちゃん。死を待つだけの病魔を抱えながら、予想以上の延命期間を、淡々と日々受け入れるジュンユ。どこかに深い悲しみを抱えた先生。それぞれの事情にも、少しずつ、切込みが入っていきます。/ 後半に進むにつれ、物語はどんどん哲学的になっていき、謎の老婆と幼少期の車谷の出会いの会話のシーンなどは「火の鳥」にも匹敵するほどの重厚さと感じました。/ 終盤では、チコちゃんの「口」を借りたかのようにして、神様が車谷に人生の何たるかを語り掛け、今後へと導いていくシーンは「これを実写化できないために、ドラマにならないの?」と思わせるほどに、次元を超えた重厚さに包まれています。/ 後半、ついに、トモちゃんの人生が明らかになるのですが、やや駆け足だった印象はあります… けして、完璧な聖母ではなかった、トモちゃん。その彼女にも、救いの手が述べられます。/ 周囲の子供が「ペンギン」を見た自分と同じ年齢になったら見せたい、森下先生の最高傑作です。

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