5.0
行間が沁みる
最近漫画やドラマはセリフや説明が多いけど、これは言葉がミニマムに削られている。なのに情報量は多い。
ちょっとした表情、間合い、構図、風景から、色んなイメージが湧き上がる。行間を読者に埋めさせてくれる。フジイの周りの人達が、フジイという人物に色々な角度から光を当てて、フジイ自身は語らない、彼の内面の一部が少しずつ浮かび上がる。
読んでいると、じんわり温かいものと、胸を刺す痛みが交互に来る。結局、人間てみんなひとりなんだよな。だからこそ、束の間、誰かと何かを共有したいと思う。
この感覚、どこかで知っている。何だろうと思ったら、陽が落ちる間際、西の空にうっすら残る夕陽を眺めている時の、あの感じに似ている気がする。
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路傍のフジイ