5.0
ヤングケアラーだけはいただけない
なんでもっと前から読まなかったんだろうと思うくらい、素敵な作品です。
昨今問題視されてる、発達障害や性自認、母子家庭、虐待、DV、カサンドラ、等々、社会問題のリアルさを丁寧に描写されています。
どのお話も好きで今ヤングケアラーのところまできたんですが、このお話だけはすごく後味が悪くて、飲み込めませんでした。
この母親は本当に正常ですか…?昼間はヘルパーさんにやってもらってるからと、小学生の子供にシモの世話、介助、買い物、支払い等々お金の管理、料理、掃除、洗濯させてる。自身も夫の親の介護がつらくて離婚したのに、子供が疲弊してベランダで気絶(寝落ち)しても自分からは声を上げず、スクールカウンセラーなどの外部からの声がけがあるまで福祉や支援を求めないところが、ありえないと思いました。
子供は文句も言わず愚痴も吐かずお母さんのために頑張れる、私はやれる!と…。そのひたむきさが読んでて辛かった。こんなの、子供の愛情を利用してるとしか思えない。搾取。虐待。声をあげれば、絶対もっといろんな支援や福祉があるはずなのに。
泣きながらスクールカウンセラーの人に謝ってたけど、美談にするなよ、まず子供に謝れ。って思うし、このお話の子供は本当にいい子だけどら私だったら絶対親のこと許さないしその思い出に呪われると思う…。特に大人になってから振り返って、「え…?なんで私にやらせたん??なんで私は周りの子達のように過ごせなかったの?」ってずっと悩むと思う。多感な小学生時代に親の介護をするなんて、発育上いいはずがない。
その他の話が、様々な障害や葛藤を抱えながら苦しむお母さんや子供たちを見てきたので、余計いただけなかった。社会の課題だと思う。本当にヤングケアラーはダメだよ。
- 0
リエゾン ーこどものこころ診療所ー