4.0
妻の視点を学ばせて頂いた。
最初、絵は正直に言えば商業誌に載せるギリギリのレベルだと思ったが
読み進むにつれて然程気にならなくなってきた。
多分、登場人物の感情が判り易くて良かったからだと思う。
もっとリアルな絵だったらと思うとゾッとするほど重い話になったろう。
あっという間に読み進み500pt使ってしまったがそれだけ内容は良かった。
無料分を読んだ段階でコメント欄の両極端な意見を読んだが、自分は
読後どちらの意見になるのだろうと思って読み進んだ。
結果で言うと「書かれている内容が非常に理解出来た」ということ。
私は勤め人暮らしだけでなく自営で生きて来た期間も十年以上あるので
収入がきつかった頃から今も家事や育児を分担した方だと思っていた。
だがこれを読んでこと育児について「分担」したと胸を張れるような
ものではないことに改めて気づかされた。
収入が無い状態の心理、男ならこういう考え方をしてしまう傾向が
あること、理不尽な会社という世界で生きていくことのしんどさ、
だけど気真面目過ぎて自分の首を絞めてしまうことの愚かさ。
家計を1人で背負ってしたくもない仕事を必死でやることの苦しさを
理解できない専業主婦の感覚。
得手不得手があり、365日やって当然出来て当然と思われる家事と
誰にとっても中々手におえない育児、孤独のストレス。
それが感覚的に理解できない勤め人の想像力の限界。
愛し合っていても互いの顔から笑顔が消え、心を閉ざして仮面を
被り、傷つけあって深い溝を生んでいくプロセス。
どれをとっても誰がこうなっても全く不思議はないリアルさだ。
夫がこうなってしまっても、いやこうなってしまったから
心の中から噴き出して来る許せない妻の怒りは読んでいて
他人事ながら身が竦む思いだった。
強くなった妻が最後に至った結論は男としてとても有難いこと
だった。
これからゆっくり二人は共通の価値観を育てていくのだろう。
私も、妻の言う言葉をもっと大切に聞こうと思ったのである。
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夫の扶養からぬけだしたい