4.0
題材の割に読みやすい
幽霊は見えるし司法解剖医だしすぐ動いてくれる警察官のお友達がいるし、というトンでも設定だけれど、読み手としては真相が知りたいのでぐんぐん読み進めた。
最初の話は、ドラマのきらきらひかるのスペシャル版にリメイクされたものだと思われる。
この作者の他作品と比べると、複雑さが少なくてさっと読める。これはこれで心に残る。もうちょっと読み続けたいけれど、完結してしまった。
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幽霊は見えるし司法解剖医だしすぐ動いてくれる警察官のお友達がいるし、というトンでも設定だけれど、読み手としては真相が知りたいのでぐんぐん読み進めた。
最初の話は、ドラマのきらきらひかるのスペシャル版にリメイクされたものだと思われる。
この作者の他作品と比べると、複雑さが少なくてさっと読める。これはこれで心に残る。もうちょっと読み続けたいけれど、完結してしまった。
裁判員制度という、社会派の主題を扱っていながら、1人のフリーターの視点で描かれているために、堅苦しくなく読みやすかった。主人公は、自分より下の立場の人がおれば卑しく喜んだり、重大な役割に恐れおののいたりする、普通の青年で、変にひねくれたり、ヒーローぶったりした人間ではないので、嘘臭くない。また、様々な立場の人間が出てくるが、それぞれの環境や感情がしっかり分かって、ストーリーの説得力が増していた。
ただ、何となく結末が予想できてしまったために、最後の最後で驚きがなかった。もう一捻り、ほしかった気がする。
展開への驚きよりも、この作者の他作品に登場する人物がいたりして、そちらの方に反応してしまった。ちょっと嬉しかった。他作品で見た小物も登場したのが面白かった。この作者の他作品を読んでいて、この作品が未読の方は、ぜひ読んでみてほしい。
主人公が、他の人たちのことを嫌ったり、受け入れられないと感じたりしていたが、相手の背景を知って受け入れられるようになる。これは読者の方にも起こる現象だと思う。読んでいくうちに、アニメに夢中のフリーターや、昔気質のおばあさんや、個を認められて喜ぶおばさんや、正義感溢れる学生の気持ちが分からなくもないなと思えるようになった。読む側の心の視野も広がるような作品だと思う。
登場人物たちの二転三転する心情が、妙にリアルに感じられる。絵はシンプルだが独特で、印象に残る。テーマがとても重くて深いものなので、絵のシンプルささがちょうどいいのかもしれない。説明じみた長いセリフが目立つが、その説明を望んでいるのでちょうど良いと思った。
決して強くはない主人公の、どこまでも人を知ろうとする素直な探求心が心地よかった。
実際はこんなことはないだろうと思われる部分も多々あるが、全く知らない世界なので、なんともいえない。今後の制度についても考えていきたいと思えるような内容だった。
重いテーマなので、落ち込んだり病んだりしているときには読まない方がいい。
時々登場する変な名前の店や、本のタイトル、無駄に可愛いぬいぐるみのカヒルちゃんなど、作者のセンスが小物に炸裂しているので、和む。
星が4つなのは、ちょいちょい登場する不思議な鳥と、主人公の布団の柄が不気味なため。それも含めて良かったのかも知れないけれど。
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MAKOTO