4.0
これは広く読まれて欲しい作品
心理に関わる仕事をしてました。なので気になって読み始めた作品です。
生まれながらに反社会性人格を備えた子などほとんどいない。親や周囲の人間から人権を踏みにじられて、結果的に人や社会を呪う人間になる。
事件が凄惨だと、必ず犯人を怪物扱いする論調が一般的になるが、掘り下げていくと必ずそうなる理由が存在する。本人の罪は消えないが、そういう人間を社会が再生産しないためにはそういった原因がもっと追求されるべきと思っている。
冒頭では事件を起こして入所した青年が、反社の親に虐待されていたことが明かされた。実の親が19年かけて醸成した人格が、果たして赤の他人によって癒され、矯正されるのか、非常に興味深いテーマ。
また、モブたちもやはりそれぞれに生育歴に色々あるようで、幼さや衝動性が垣間見られる。そういうところがきちんとリアルだ。おそらく現場に相当取材しているはず。
絵柄は綺麗では無いが、作品テーマに合っていると思う。非常に難しい問題だが、どこをゴールに持っていくのか、見守りたい。
※作品に対してではなく、取り上げたテーマへの嫌悪感で星を付けている人がいるような。作品と問題への感情は切り離して評価して欲しいですね。
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加害少年A~そんげん寮と行き場を失った子どもたち~