3.0
モラハラホイホイの条件
「どうして、結婚前にモラハラ男だってわかってた部分があるのに、結婚したの?」
そういうレビューがあるのは、当然な話である。
しかしである。
マンガ家という無駄に孤独な仕事(アシスタントでも来てくれたらマシだが、その描写は無い)。
婚活の話を聞いてくれるのは妹ばかり(友達にも話しにくいものなのだろうか?)。
ひとり暮らしの部屋にこだます、返事をもらえない「ただいま」の繰り返し(鉢植えでもいいから、なんか置いときゃいいのに)。
今までのだめんずウォーカー遍歴からも明らかな、自己評価の低さ。自分への自信の無さ。そして相手に求める条件の低さと歪み。
道行く幸せそうなカップルを見ては焦り、近所の子が出産挨拶にきたら、母の何気ない「いいねー」の言葉に過剰反応、ドクドク血を流す心理描写。
こんな「悪い孤独」や「焦り」にさいなまれていたら。自分に自信が無ければ。「他人にどう言われるか?どう思われるか?私が悪者になるのは嫌だ!」そういう世間体ばかりが、自分という器を満たしていたら。
モラハラ男が、そんなヤワい器に揺さぶりをかけるのは簡単だ。翻弄され、「あれ?あれ?変だな?」と思う瞬間があったとしても、波にかっさらわれて結婚まで行くのは、特に不思議ではない。
まぁ、こんな風に長々得意げに語るのは何故かというと。私が、モラハラ男である父と、洗脳された母のもとに生まれたからだ。
モラハラ男というのは面白いもので、「コイツはいくら揺さぶっても駄目だ」「いずれ自分の覇権も終わる」と悟ると、「お前には伝わらなかったが、いつもお前を想っていた…」などとロミオってきて、無駄な保身を図るのである。
適度に自分にツッコミを入れているストーリーを見ると、作者は今現在はモラハラ男から離れ、じっくり過去を作品にしているのかもしれない。
客観性を保持しながら、更に傷をえぐるクライマックスへと向かってほしいし、最後はモラハラ野郎の「お前のことを…」ってなロミオメールが届いたりして、それをゴミ箱に突っ込む、そんなカタルシスが欲しい。
現時点ではちょっとモタついている感じは否めない。読者のイライラを、坂道を転がり落ちる加速度をもって昇華してほしい。
- 121
モラハラ男と結婚したら、こうなった。~毎日、土下座してます。~