3.0
優美子は真性のサイコパス
そういう意味ではとても上手くキモチ悪さを描写していると思う。
優美子の、常人には理解し難い行動原理、歪んだ愛情の発露なども、本当に思わず乾いた笑いが出るぐらい胸糞が悪い。
作者さんの勝ちです。うわー、ないわー、と何度も思いながらも、結局最終話まで購入してしまった。
お見事。
ただ、グロにそれなり耐性があって、鬱ENDでも気にならないタチで、あと想像力がかなり逞しくないと、全話読破するのはキツイ作品かもな、と感じました。
規制なのか、黒塗りで潰された描写が多く、要所要所で何をしているのか、されているのか、まったくわからないコマが…。
あと、事件自体は表面をサラッと撫でるようにしか描いていないので、ラストの展開も含めて、読み手が想像するしかない部分というのが多い。
曖昧さを狙ってのことかもしれないけど、消化不良で落ち着かない。
そこが一番読者を選ぶ要因かなと思う。
かく言う私も、少し辛口評価になってしまいます…。
ラスト間際、女刑事を優美子と、男刑事を大介と誤認していた雅彦の場面があったので、雅彦錯乱ENDなのかと思ったのですが。
7年後、唐突に幸せな家庭を築いていて、???となりました。
この辺の説明がまったくないのが特に不満です。
雅彦の結婚相手は、事件を追いかけていたあの女刑事なのか?
あれが事件とはまるで無関係の女性であるなら、それはそれで、脈絡も何もなさすぎて不満だし、それに雅彦はおそらくは深刻なPTSDを抱えて錯乱したはずなのに、どんな経緯で立ち直ったの?
私としては、何がきっかけであれ、そんな雅彦を女刑事が支えて愛が芽生えて、結果、結婚したんだな、と勝手に脳内補完してますが。
ほんの半ページでもいいからそこに触れてないと、ストーリーとしての着地点がなくて気分がよくないんです。
説明が欲しかったなー。
恐ろしく、美しく、醜く、いびつで、奇妙で、グロくて、切なくて、悲しい。
そんな物語。
全体としては秀作なだけに、ラストの駆け足っぷりが評価を下げているのが実にもったいないと思います。
ああ、それと、鈍色プラネタリウム、というタイトルもいい。
明るくなく、ハッキリもしない、まがい物の星空は、優美子と雅彦の関係性に似ていると思う。
悲しいな。
お金もったいなかった、とは思わないです。
苦手ジャンルでないなら読んでみてもいいと思います。
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鈍色プラネタリウム