5.0
深すぎる作品
主人公詩織が事故に遭い、記憶喪失で意識が戻るところから物語が始まります。
すでに両親がいない詩織は、優しい兄の明夫と自分のことが嫌いな妹真歩の3兄妹で暮らす高校生。
記憶喪失のまま、記憶を失う前の自分が応募していた読者モデルのオーディションを受け、モデルは落ちてしまうが、芸能事務所からスカウトされ、雑誌やテレビの仕事をするようになる。
事故前の、横柄で投げやりで性格悪いキャラクターには訳があった。
そして、記憶喪失になってしまった原因も…
メディアに出るようになり、生き別れたお母さんが見つけて事務所に会いに来たのがきっかけで、過去の記憶が蘇る。
記憶をなくす前の詩織、記憶をなくした後の詩織、記憶が戻ってからの詩織、自分自身に混乱しながら、反省したり相手を思いやったり、少しずつ成長していく様が描かれます。
その成長過程の葛藤、本当の恋心、兄妹を取り巻く人間関係、それぞれの心の闇だったり意外な恋愛だったり、緻密に設計されたストーリーが繰り広げられ、長いけど読み切るべき作品です。
無駄な描写はなく、無駄な当て馬もなく、
絵もストーリーも丁寧。
単なる恋愛ものでも、単なるサクセスストーリーでも、単なる家族愛モノでもありません。全部詰まった作品です。
- 40
シックス ハーフ