3.0
軽く何か読みたい時には丁度良い
本筋に関わる揉め事は丸く収まって、話としてはめでたしめでたしではあるんでしょうけど、如何せん全体における構成が拙く感じました。
全ての要素が中途半端というか、「結局この要素必要だったかな」という点が少なくなかったです。
例えばですが、ノクスの過去を暗くして孤独さやキャラの深みを出したかったのであれば、あの程度では少し物足りないですかね。
話の全てを娯楽として消費する立場である読者側からすると「あーね」ぐらい。
結局深掘りも程々だったので義母とかほぼ空気でしたし、だったら最初から必要な設定だったかは微妙なところです。
その他、どうしても出したいのであろう設定や展開がわかりやすく、それを継ぎ接ぐための描写の処理がおざなりという印象です。
最後に駆け足で「この人は今こうなりました、あの人は今こうしてるらしいです」と詰め込んだ割には足りない部分も多い。
また、読んでいて一番気になったのは、五感を失った者の挙動です。
そもそも耳が聞こえなければ自分の声も分からないので、「あー」や「うー」などの呻き声は出せても、言葉を発することは本来不可能です。
しかしルナティアもご先祖も「殺して」やそれ以上に長い単語、ひいては文章を口にしていて、だいぶ違和感を覚えました。
もっとリアリティを求めるとすれば、耳が聞こえづらくなった段階で、やたら本人が大きな声で話すようになったなどの変化も欲しかったです。
加えて、触覚がなければ「物を持つ」「抱きしめる」といった動作ももう少しぎこちなく難しいのではないでしょうか。
最後まで読んだ感想としては、「本来この話の核心部分である“五感を失う”という描写に関して非常に解像度が低く、話のつかみは印象的だがストーリーは意外と浅い、キャラそれぞれへの深みも物足りない」といった感じです。
こいつが制裁されなくてモヤモヤした!や、どうしても明かされるべき謎がまだ残ってる!という程の未回収要素は特にないので、カロリーなく読める作品ではあります。
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