5.0
傑作です。
間違いなく傑作。10代の思春期を描いた作品の中でも作品の完成度は群を抜いていると感じる。ヒリヒリとした言い様のない渇き、行き場のない苦しさ葛藤、誰にも話せない迷いや孤独等、心を深くえぐられる様な描写。仲村佐和を起点として主人公の春日高男を取り巻く世界がカオス化し、佐伯奈々子やすべてのものに感化伝染していく言い様のない不安感。
前半は確かに読んでいて凄く重く苦しかったが、中盤から始まる物語こそこの漫画の傑作たる所以なんでしょう。
主人公春日が常磐文と出会う事によりお互いがそれぞれを影響し共鳴媒介とし新たな物語を進んでいく。その一言では語れない成長途上の精神描写、表現、全てが秀逸。
私も10代の頃ボードレールの悪の花を読んでいたのでより入り込んでしまいましたが、原典を知らずしても深く感動しえる作品だと思います。
- 16
惡の華