tatatatatatsuさんの投稿一覧

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  1. 評価:4.000 4.0

    強く惹き込まれるが、不可解な点もあり。

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    まず基本的に、面白い物語=ドーパミンが強く分泌される物語、だと思っている。

    「夏目アラタの結婚」は以下の4点でもって、読者の脳内にドーパミンを分泌させて、物語に強く惹きつけることに成功していると思う。

    ①サスペンスと緊張感(予測できない展開)

    真珠からは数多くの謎や不確定要素が提示される。犯行の動機、奇妙な言動の真意、最終的に刑が執行されるのか否か、など。それらを知りたいと思ってどんどんページをめくってしまう。
    また、真珠のコロコロ変わる表情、感情の発露を強いタッチで(ある意味誇張して)描写することで、緊張感のある雰囲気が生まれている。

    ②物語の伏線と回収(意外性の報酬)

    物語中盤から真珠の言動や容姿に隠された真意が徐々に明らかになる。
    また、宮前弁護士の正体、周防沙菜の本性など、物語終盤にかけて予想外の事実が明かされる。

    ③共感を生むキャラクター(感情移入、情動の揺さぶり)

    「こんな地獄に自分の子を生み落としたくない」
    「誰でも自分の中で死をもてあそぶのは楽しい」
    「何かを永遠に継続しろって契約こそが地獄」
    など、普段は人前で話さないけれど、誰もが感じたことのある暗い感情を赤裸々に表現することで、感情移入を促している。

    ④恋愛要素

    恋愛要素は手っ取り早く物語への興味を掻き立てることができる。


    最後まで良いテンションを保ったまま一気に駆け抜けることができたが、読後に振り返ってみると不可解な点もあった。

    ・真珠が母親に見せた強い拒絶感(アラタとの面会時、法廷での「あいつの写真を消せ!」など)
    →母親の都合に振り回された生い立ちではあるが、母親から強い精神的/身体的苦痛を与えられた描写はないように思え、この強い拒絶には違和感あり。あと途中から母親への憎しみの感情は未解決のまま霧散してしまっている。

    ・最後に真珠が意を翻してアラタと結婚したのはなぜか?
    →母性本能からだろうか。泣き崩れるアラタを目にした時の真珠の感情は言葉ではなく絵で表現されていたので、汲み取るのが難しかった。

    長々と書いたが、一言でまとめると「超面白い作品」だった。

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