4.0
後宮というもの
WEB広告で気になったので無料公開分を読んだ上で購入。
物語の舞台は史実に基づいた唐時代の中国。
辛い暮らしを強いられ貧しさで母を亡くし、生き延びるために年若い后のひとりとして後宮へと入り、女だからこその陰湿な手段の苛めや嫌がらせにただ耐えているだけでは何も変わらず変えられず、無為な時間を過ごすばかりだと悟る主人公。
それならばと生き延びるためではなく、生き抜くために周りの声に耳を傾け、考え、様々なことを学び、障壁となるものと足掛かりとを見分けて知恵を回し、しっかりと自分の足で後宮という混沌を登っていく。
そして、史実によれば男尊女卑の著しい時代に国の長にまで登りつめた則天武后。
読みながらこの作品にどこかデジャヴを感じるのは、今まで自分が読んだことのある篠原千絵先生の後宮もの(「天は赤い河のほとり」「夢の雫、黄金の鳥籠」)に流れが近いからだと思う。
あちらは紀元前やオスマン時代のトルコが舞台ではあるけれど、国は違ってもやはり後宮とはそういった場所であり、そこに生きる女たちとは…と考えさせられる。
心做しか本作品の主人公の顔立ちが「天は赤い河のほとり」の主人公ユーリに似たタッチで描かれていると感じるときも度々あり、それもまたデジャヴの理由のひとつだと個人的に思っている(とはいえ天河は後宮だけが舞台ではないし、寧ろ後宮はストーリーの一部分といったところではあるけど)。
本作品を描かれている園先生には、近年では脚色や捏造も含んだ悪評を裏返されることも多くなってきた則天武后へどんな方法で武照が生き抜いて登りつめるのか、そして登りつめてから最期のときを迎えるまでを是非とも描ききっていただきたいし、自分もしっかりと追っていかねばと願わずにはいられないでいる。
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9
レッドムーダン