5.0
結末について、私の解釈
最終話で、老いた進平が実は生きていた紗都子と再会したと捉える人が圧倒的多数みたいですね。
本当にそうでしょうか。もし紗都子が生きていたとすると、おかしい点がいくつもあります。
・まず、夢を決して諦めることのなかった紗都子が、病気が治ったのに進平を探すことなく何十年も暮らすでしょうか。紗都子なら、旅に出た進平を何が何でも探し出すでしょう。
・小物問屋で働いた、という手紙の記述。紗都子の夢は進平と暮らすことです。職につくことではない。
・康太郎の「紗都子様を思い出すのが怖かったか」という台詞。紗都子が生きていたなら不自然ですよね。
・紗都子の手紙を康太郎が預かっている、というのもおかしい。紗都子なら直接渡すでしょう。
でも最終話には「紗都子が生きていた」と思わせる描写があります。
まず、若返り描写の直前で竈門の前にしゃがむ女性の頬、シワがあります。最後に後姿の進平と抱き合う人の腕にもシワ。つまり老いた女性があの家にはいたのです。
それから康太郎の「紗都子様の初の給料で買った手紙」という台詞。紗都子が生きて職に就いていたことを裏付けるかのようですね。
私はこれらの点について、以下のように反論します。
康太郎の言った「初の給料」とは。遊女小屋で働いていた時に、少しお給金が出たのではないでしょうか。実際、紗都子が手紙を書き始めたのも遊女小屋にいた時です。
そしてあの家で進平を出迎えた老女。あくまで私の解釈ですが、第一話の冒頭と一致する「私はとても幸せでした。」の一文を読み涙したところまでが現実なんだと思います。その後に続くシーンは、進平の願望が映し出されたのではないかと。手紙の内容も康太郎の台詞も、もしかしたら幻かもしれない。幻じゃないとしたら、死を悟った紗都子が未来の進平に宛てた手紙でしょう。
紗都子はあの日、確かに死んだのです。
進平がそれを確認した描写がないのは、進平が現実に向き合えなかったから。メタ的には最終回で読書をも幻に巻き込むための布石。
天女島の解体を聞いて島を訪れた進平は、紗都子の思い出に触れすぎて、どんな形でもいいから会いたいと願った。生きて年老いて、あの家で暮らしていてほしいと。だから進平を出迎えたシワのある女性は進平が見た願望です。
進平の想いがそれほどに強かった。作者さんも幻のでもいいから会わせてあげたくなったのかもしれませんね。
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ホタルの嫁入り【単話】