3.0
作者の才能は素晴らしい!でも…
【描写力】
画力の高さはもちろんですが「その瞬間の何を描くか」というところに作者の卓越したセンスを感じます。
女性がドキッとする瞬間、それを見つめる男の冷たい笑み。リアクションを逃さないので精神的なエロスも漂います。
体位や構図の研究も熱心ですし擬音の選択も秀逸。
汗や愛液、涙など分泌物の描き方は漫画ならではの表現。表現の可能性を追求する姿勢も素晴らしい。
【内容】
本作は「NTR願望を持つ男性」と「M気質の女性」をターゲットにしていると思いますが、その層の要求に見事に応えてくれます。
しかし、ここからが大事なのですが、作者は物語全体の設計力に乏しいところがあります。
多くのレビューで、物語の導入部の強引さが指摘されていますが、私が問題視したいのはそこではなく、中盤から物語が迷走・破綻してしまっている点です。
例えばバイト君の暴走
一ノ瀬の旧友のセフレが実花の元同級生という強引な設定
一ノ瀬の母が偶然ファミレスに来店するというご都合主義
本作はレスの主婦が偶然肉体関係を持ってしまった間男に快楽漬けにされ心では否定しつつも体は反応してしまう、というところに核があるはずですが、この間男がなぜそこまで主婦に執着するか、という裏付けに作者は間男の幼少時のトラウマを設定し、その情報を小出しにしていくことを選びました。
しかしトラウマではエロを生めません。反対に間男のベールが剥がれ魔力を失っていきます。
さらに、ここで主人公が主婦から間男にスイッチしている点も重なり、作者は難しい問題を二つ同時に抱えてしまいました。
作者はこの問題に他の人物を強引に動かしてエロを補填することで対応しました。それがバイト君の暴走。実花の元同級生の陰謀。これは大きな間違いでした。
もはや一ノ瀬は、元同級生の陰謀から実花を守るヒーローの如き描き方で、卓越した性技で悪役を撃退しているような始末。それはもう別の漫画です。
この漫画の核がレスの夫婦と間男の三角関係なら、描くべきは旦那の心理だったと思うのですが…
【総括】
一番苦しんでいるのは作者自身かもしれません。事実更新速度が激落ちしています。
ただ、サブスクのサービス上で作品を発表している以上、作者と編集者には最後まで書く責任があります。
実花、一ノ瀬、和彦の本音を掬い出してあげてください。
- 6
「夫の部下にイかされちゃう…」抗えず感じてしまう不倫妻