5.0
親子関係の現代社会の闇
涼太のサイコパスっぷりに引き戻されがちだけど、それぞれタイプが違う母親の毒や愛情も巧みに描かれている。
過干渉による子供の人格崩壊、『叱らない育児』を履き違えた『放任』による非常識の量産、反面、躾にさえも虐待防止法に絡めた過剰な批判が起こる今の時代に、『子供への愛情表現とは何か?』を提起していると思う。
基本、母子に焦点を当てた内容だけど、広い視野で見ると、主人公が愛憎を向ける対象は友人やその家族、はたまたその周りにまで。『対象』はどこまでも拡がる。
昨今の現実の事件でも、加害者の生い立ちや性格には触れることがあるものの、元よりの『性質』に触れられることは少ない。
サイコパスは「いかに自分の理想を実現させるか」に固執する傾向があると思うけど、その為なら人を欺くことも容易い。目標達成の為ならどんな偽りも演じきる。自分以外の人間を思うままに操りたい、邪魔者は排除。独占欲の塊。加え、そんな恐ろしい思考だろうと、事が起きても「子供だから」で片付けられてしまう今の法整備。
子供に持たれる『真面目』『大人しい』『しっかりしている』の印象は、本質を見ようとしない大人が都合よく作り出した理想像の押し付けなのかもしれない。
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マザーパラサイト