5.0
課金に悔いなし!
現代に吉原があったら――。
吉原物は小説や漫画でも多くありますが、どの作品も、純愛・悲恋含め恋愛だけの世界ではない。カネ・色・欲・差別・あらゆる世の中の不条理が絡み合った坩堝の世界が描かれます。
この作品も、“現代の吉原”を通して、そうした部分をあぶり出しています。最終的には、それを超えた伝説の存在に主人公はなっていくのでしょう。
お店側も、楼主・遣り手・マネージャーだけでなく、見回りや客扱の男衆など、総ての関係者が、吉原の掟をわきまえ、主人公に教えつつも、‘詞には出さないけど、なんとなく揺蕩う「遊女像」‘を超えた主人公の言動や、主人公の悩みや落ち込む姿、考える姿を見守り、新しい「遊女像」の誕生を望んでいるかのようです。だから、楼主を始めとしたお店の皆さんの詞も深く、考えさせられます。
「場所こそ地獄だけど、がんばる心清らかな主人公」といった綺麗事だけの上澄みの漫画ではありません。現代版の吉原だからこそあぶり出せ、描ける世の中の不条理、詞のトゲや緩やかな支配などが描かれているので、読み応えは十分。課金に悔いなしの作品です。
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十億のアレ。~吉原いちの花魁~